徒 歩 進 香[巡 礼]

ハマるぞ台湾!道教文化

進香とは

 

まず手始めに「進香」と、それと関わりの深い「遶境」についての基礎知識を説明させていただきます。 ともに台湾文化を代表する伝統的な宗教イベントです。

 

 

[目次]

 

 

巡礼と巡行 

日本語に訳すと、

進香(ジンシアン)「巡礼」

遶境(ラオジン)「巡行」

です

「巡礼」と聞くと、世界各国のさまざまな巡礼が思い浮かぶと思います。

キリスト教エルサレム巡礼やサンティアゴ・デ・コンポステーライスラム教のハッジ(メッカ巡礼)、ヒンドゥー教のヴァラナシ、仏教のルンビニブッダガヤ、日本においてはお伊勢参りや四国遍路... 

台湾道教における巡礼が「進香」になります。中でも一番の聖地は、中国福建省湄洲島にある「湄洲媽祖祖廟」であり、毎年多くの人たちが飛行機や船を乗り継ぎこの地を訪れています。

また「巡行」の意味を辞書で引くと、[神輿や行列が一定のコースを順に回ること]とあります。あまり馴染みのない言葉ですが、台湾道教における巡行「遶境」になります。それではまず「遶境」から、どのようなイベントなのかについて見ていきましょう。

 

 

※ 湄洲媽祖祖廟についてはこちらへ ※


 

遶境(巡行)とは?

台湾を旅行していると、街中を進む神輿や爆音を鳴らす華やかな車の列、楽器を演奏したり旗などを手に歩く人たちの行列を見かけたことがあるかもしれません。それは道教の宗教イベントの一つ「遶境」と呼ばれるものです。日本でいうところの、山車を引いて街を練り歩くお祭りのような感じです。

 

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神様の誕生日や記念日などのお祝いとして、神輿陣頭(踊りや音楽などを行うグループ)の行列が廟のある地域周辺を練り歩きます。神様が管轄地域を巡視することで地域の平安を守り、住民の方々は家先で擺香案(お供え物を並べ、金紙を燃やし、線香を手に拝む)をしながら、神様のご加護を祈ります。

神様や地域によってさまざまな特色があり、それが台湾の人たちの娯楽の一つでもあるんですね。その廟とつながりのある他地域の廟(友好廟)から応援が駆けつけたりすると、その規模もどんどん大きくなります。また進香(巡礼)から戻って来た後、周辺地域を遶境(巡行)するケースもよく見られます。

 

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その中で一番有名なものが、改めて紹介する雲林県に位置する北港朝天宮遶境です。ただし北港朝天宮の場合は、陣頭がほとんどなく、一般的な遶境とは一線を画しています。

 

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同じく雲林県で開催される六房媽過爐も有名です。特定の廟を持たず、毎年新しい紅壇を建てられ、年一回神様の引っ越しが行われます。引っ越しの際に、神輿が新しい紅壇の周辺地域を巡行します。厳密に言うと、遶境ではなく「過爐」(爐主が交代する際、新たな爐主の地域を巡行する)というイベントになりますが、管轄地域を巡行するという点では、遶境とさほど変わりありません。

 

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遶境では、神様の前でダンスを披露する「辣妹(ラーメイ)」と呼ばれるセクシーなダンサーたちも見どころの一つです。 

 

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遶境は主催廟や友好廟の信者たち、さらには走路工と呼ばれるアルバイトによって構成されるため、一般に参加者を募ることはほとんどありません。

ただ一部上記の案内のように、徒歩参加者を募るケースがごくまれに存在します。他にも遶境のボランティアメンバー募集がかかることもあり、それは廟に貼り出される募集案内やFB上の告知などにより知ることができます。

 

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また申込をしなくとも、遶境の行列に飛び込んで邪魔にならないように後ろをついて歩くことは、基本的に問題ありません。私もこれまで数多くの遶境について歩いてきました。

ただし、もし長時間隊列について歩きたい場合は、廟の方に帽子をもらえないか聞いてみてください。帽子をかぶるだけで、隊列に溶け込むことができます。帽子は余っていれば、基本無料でもらうことができますが、その際はお賽銭箱に100元程度入れるといいでしょう。

機会があれば、みなさんもぜひ歩いてみてください。

 

 

進香(巡礼)とは?

「進香」とは、言ってみれば神様の里帰りです。イメージとしては多少異なりますが、集団で行うお伊勢参りのような感じでしょうか。

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台湾にある道教の廟は、古く歴史ある廟から「分霊」され各地に建立されています。北港朝天宮や南鯤鯓代天府などの有名な廟になると、その数は数千、数万にものぼります。そこで毎年神様の誕生日の前後には、盛大に里帰りの巡礼が行われ、この期間は進香期と呼ばれます。

想像してみてください、数千もの分霊された子どもたち(?)が一斉に里帰りをするわけですから、誕生日前後に分散されるとしても、それはものすごいことになるんですね。

 

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南投県にある松柏嶺受天宮は山の上に位置していますが、玄天大帝の誕生日前後の進香期には、途切れることのない進香団でそれはえらくにぎやかになります。なかでも、日本語ではタンキーと呼ばれる乩童ジートン)は有名です。乩童は神様が乗り移る存在であり、自ら身体を傷つけることでそのことを証明します。そのため、この時期の受天宮には血だらけの乩童がたくさんいますので、心臓の弱い方は避けた方がいいかもしれません。

 

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進香の99%以上は、廟がチャーターした観光バスに乗って行われます。進香参加者の中には老人も多く、距離もあり、それも当然ですよね。さらには途中観光地に寄ったりするケースもあるなど、廟に関わる人たちの慰安旅行の意味合いもあるのかもしれません。

しかし中には気合が入った、昔ながらに神輿を担ぎ歩いて里帰りを行う廟がごくわずかに存在しています。それも何百kmも!

それが『徒歩進香』と呼ばれるものです。

二百年以上の歴史がある宗教イベントであり、ここ二十年で徒歩による進香を行う廟も増えてきました。二百年前と言えば、日本は江戸時代後期であり、伊能忠敬が地図作りに日本全国を歩いていた頃でしょうか。

徒歩進香は「媽祖」(海の女神)信仰を中心に行われていますが、玄天上帝王爺、保生大帝、廣澤尊王といった他の神様でも見ることができます。

 

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徒歩進香にも、所々歩く部分徒歩進香完全徒歩進香があります。このブログでは全行程徒歩を前提とした完全徒歩進香を紹介しています。たとえ往路復路全行程の参加ではなく、途中1日、2日のみの参加だとしても、その区間はきっちり歩き切ることが大切だと思っています。それでこその徒歩進香です。ただこの点については、参加者皆さんがそれぞれの自分ルールで歩けばいいですね。自分で決めた方法をやり通すことが大切なのだと思います。

また徒歩進香の中には、神輿や陣頭が途中車でワープするものや、その日の目的地となる廟(駐駕地)に到着後、バスで宿泊先まで移動し、翌朝再びバスで戻ってくるものもあります。

 

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進香の主な目的は、定期的に祖廟(分霊元)に帰ることで、神様としての力を補充することです。また「兵将」の派遣をお願いしたり、香火(火のついた香や灰)を香擔に入れて持ち帰ります。

ほかにも祖廟への現状報告や友好廟、信者間の交流といった意味合いもあります。分霊元ではない廟に進香団が向かう場合は、この定期交流が主な目的になるのでしょう。これら目的を明確化するために、進香の代わりに刈香謁祖、會香、參香、巡香といった名称を使用することもあります。

 

進香 : 祖廟に帰り神様の力を補充する、もしくは友好廟を訪れ交流する。

刈香 : 祖廟に帰り神様の力を補充したり、現状を報告する。

謁祖 : 刈香と同じ。

會香 : 進香と同じ。ただ友好廟を訪れる意味合いが強い。

巡香 : 大きな廟が小さな廟の状況を見回る。

遶境 : 廟の管轄地域を神様が巡視する。

過爐 : 爐主が変わる際に、新しい爐主の地域を神様が巡視する。

  

進香団と共に進む信者たち(隨香客)は、その信仰心から神様に寄り添い歩き、またそれにより神様のご加護を得ることを目的としています。さらに、長丁場の進香全行程を歩き通す信者の方の中には、神様にお願いしたことが実現し、それに対する御礼という意味合いで歩いているケースもあるようです。 

 

まとめると...

簡単にまとめると、遶境・進香とは次のようになります。

◆遶境 : 神様の記念日を祝い、廟のある地域周辺を神輿や陣頭が練り歩く。(信者が多い廟になると、少し離れた地域で行うこともあります)

◆進香 : 神様の里帰りとして、バスや車に乗り、遠く離れた祖廟まで往復する。(駐車場から廟までの間を神輿や陣頭が練り歩きます)

◆徒歩進香 : 完全徒歩で行われる進香。(目的地の廟が祖廟ではないこともあります)

◆部分徒歩進香 : 歩きと車の併用を前提とした進香。(完全徒歩でも、希望者は途中服務車に乗ることができます)

 

参加する上での注意点

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小・中規模の徒歩進香は、春秋を中心にいろいろな地域で行われています。多くは一般に参加者を募っており、私たち外国人でも参加できます。しかし慣れない段階での小・中規模イベントへの参加は、あまりオススメしません。

言葉の心配がある方、もしくはまだ慣れていないうちは、大甲媽祖や白沙屯媽祖のような大規模進香イベントにしぼって参加された方がいいでしょう。そしてさらにもう一歩深みへズブズブとはまってみたいと思えた時、中規模の進香イベントに参加してみてはいかがでしょうか。その時は台湾人の知り合いに連れて行ってもらってもいいかもしれません。

徒歩進香とはいっても、参加者の多くは途中「服務車」や「香客車」と呼ばれる車に乗り、みなさん疲れを調整しながら歩き続けます。中には完全徒歩を目指す人もいますが、多くの参加者が車に乗ってしまうケースでは、必然的に隊列より遅れやすくなります。遅れた場合も決してあきらめず、ただし体調管理と交通事故には十分気を付けて歩き続けてください。

また、マイナスなことはあまり書きたくないのですが、進香や遶境における一部参加者のごみポイ捨てなどのマナーの悪さや騒音、さらには交通渋滞や大気汚染を引き起こす原因ともなることで、こうしたイベントを快く思っていない人たちも一定数いるということを、頭の片隅に置いておいてください。私も急いでいる時に遶境渋滞につかまると、正直イライラすることもあります。みなさんは周辺住民への配慮の気持ちを忘れずに、マナーを守って参加しましょう。

 

最後に

このブログでは、みなさんも気軽に参加できる二大徒歩進香を中心に、その概要を詳しく紹介してまいります。

 

 

 

※ 二大徒歩進香 ※


※ 大甲媽祖遶境進香 ※


※ 白沙屯媽祖進香 ※

 

 

 

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