[台湾巡礼]徒歩進香の世界へようこそ
このページにたどり着かれた方は、おそらく台湾大好き!もしくは道教文化や廟(道教寺院)に興味があるという奇特な方だと思います。
もしかすると、2017年に大ヒットし2019年には続編も放送された台湾のテレビドラマ「通霊少女」や漫画「封神演義」を読んで、道教文化に興味を持った方もいるかもしれません。
実際台湾に何度も行ったことがある人でも、「進香」(巡礼) という道教イベントは、その存在すら知らない人がほとんどではないでしょうか。
しかし私はこの徒歩進香こそが、台湾文化の醍醐味であり、毎年数十万人を熱狂させる台湾で最も盛り上がるイベントだと思っています。
台湾に来たばかりの頃、私は人々が熱心に信仰する道教文化に興味を持ち、時折近所の廟へお参りに行き、近くで遶境(巡行)があると見物にも出かけました。
しかし決してそれ以上ではなく、興味はどちらかと言えば少数民族(先住民族)文化にあり、休みの日には郊外の村などに足を運んでいました。
そんなある日、知り合いが住む街の道路沿いに、徒歩進香を案内する看板を見かけました。当時進香という言葉は知っていたものの、聞いたことがある程度の知識しかありません。それでも一度道教イベントにメンバーの一員として参加したいと思っていた私は、渡りに船とばかりに参加を申し込みました。
山の上にある大きな廟に向かう玄天上帝の徒歩進香。神様や大勢の人たちと一緒に歩いたことで、「あれ? これはもしかするとなかなか面白い宗教イベントなのかもしれない」と感じ始めました。
その後台湾最大の盛り上がりを見せる大甲媽祖の熱狂の渦に飛び込むと、この世界に一気に引きずり込まれ、ふと気付いた時には、最も過酷な徒歩進香と言われる白沙屯媽祖急行軍の進香団にまじり、明け方の高速道路を歩いていました。
こうして徒歩進香というイベントにすっかり魅せられてしまった私は、もう一度参加するまでは戻れない!と、ずるずる帰国を引き延ばしていくことになります。こんな理由で残れる仕事も仕事なのですが......
「徒歩進香」を簡単に説明すると、神様を神輿に載せ、多くの信者たちとともに遠く離れたほかの廟まで歩いて往復するというものです。日本では「プチ修行」がひっそりと流行していますが、この徒歩進香もそうした側面を持ち合わせているのかもしれません。
言葉がしゃべれない、道教をよく知らない、体力に自信がない......などいろいろな不安があるかもしれません。でもそんなことはたいした問題ではないのです。思い切って飛び込んでみてください。きっと目の前に、新たな世界が開けるでしょう。
ただWebを検索しても、なかなか日本語では詳しい情報が得られないのも事実です。実際台湾のWeb上にも、情報が網羅されているページは見当たりません。そこでイッチョ私が紹介させてもらおうではないかと思い立った次第です。
このブログを読んでさえいただければ、知識面はもう十分という内容を盛り込んでいます。あとは進香の道へ一歩を踏み出すだけで、さまざまなことが繋がり始め、心は躍り出すことでしょう。
では徒歩進香の一体なにがここまで、道教の信者でもなく、大して信心深くもない私を惹きつけたのでしょうか。
それは一つの目標に向かって進む一体感、神様と一緒に歩むという神聖感、そしてなにより、歩く私たちを応援してくれる人たちの存在なのです。
大規模徒歩進香イベントでは、多くの人たちが路上に立ち、歩く私たちに食べ物や飲み物、休憩場所などを提供しています。特に市街地に入ると、しきりに「これを食べて」、「これを持っていって」と声がかかります。
歩きの参加者は荷物が増えるため、そんなには受け取れません。必要最低限だけをいただき、後は丁重にお断りします。しかしその応援の心が力となり、我々は歩き続けます。
大勢の人たちと出かける「遠足」、花火や音楽でにぎやかな「お祭り」、長距離を歩く「修行」、自分と向き合う「内観」、神様と共にある「信仰」、地域の人々との「ふれあい」。
これら多くの要素が詰まったイベントが徒歩進香です。
この感覚を味わいたく、また進香の道へと足が向かうのです。
※ 徒歩進香についての基礎知識はこちらへ ※
※ 人気ドラマ通霊少女 予告篇 ※
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