[聖地巡礼]湄洲媽祖祖廟 進香レポート
台湾道教において最大の聖地と言われる中国福建省湄洲島にある湄洲媽祖祖廟へ行ってきました。
通常台湾から湄洲島へ参拝に行く場合は、廟が組織した進香団に参加し団体で訪れます。今回私は個人で訪れていますが、進香の始まりは個人での巡礼、参拝であるため、ここでも個人進香と呼んで差し支えないでしょう。
今後行かれる方の参考として、台湾から湄洲島までの道のりを詳細レポートとして残しておきます。
※「進香」ってなに? という方はこちらへ ※
[目次]
個人進香の目的
個人進香目的地
[その他参拝に立ち寄る廟]
途中、以下の廟にも立ち寄りお参りします。それぞれ媽祖信仰において、非常に重要な地位を占める廟です。
湄洲媽祖祖廟にはもともと6体の媽祖像が祀られていました。しかしそのほとんどは文革などで破壊され、唯一うち1体が海を渡り鹿港天后宮に現存していると言われています。
そこで湄洲島まで行かずとも、鹿港に行けば湄洲媽祖をお参りすることができますが、ただ台湾道教によく見られるように諸説あるため、実際のところは分かっていません。
個人進香の計画
個人進香レポート
出発から目的地到着まで、個人進香を詳細にレポートします。費用については、下の方で一覧を載せています。
出発の2日前、大雨の中、大甲鎮瀾宮および白沙屯拱天宮を参拝し、個人進香出発の挨拶、そして廟の方から御守りや御札をいただき、過爐を済ませました。
立栄航空のカウンターでチェックインを終え、事前に予約しておいた中国で使用するiVideoのポケットwifiを受け取りにコンビニへ向かいます。しかし台中空港店という店舗名に反して空港内にはなく、雨の中を歩いて数百メートル離れたお店まで受け取りに行きました。
プロペラ機は予定通り1時間ほどで金門島に到着し、空港前のバス停から金城站行きの「藍1」というバスに乗ります。
さらに写真の金城站で「7路」のバスに乗り換え、小三通の水頭フェリー乗り場(水頭碼頭)に向かいます。乗り換えがスムーズだったため、空港から水頭フェリー乗り場までは、1時間弱で到着しました。
水頭フェリー乗り場からは、廈門の五通と泉州の石井行きのフェリーが出ています。石井行きの方は1日数本と少なく、また欠航になりやすいようです。さらに石井到着後、泉州市内までの交通の便も悪いため、少し遠回りになりますが、30分おきに便のある廈門の五通に向かうことにしました。
フェリーは30分ほどで五通に到着、ここで中国への入国審査を受けます。以前台湾からフェリーで中国の平潭に上陸した際、アジア各国への渡航歴を全て確認および記録され、ものすごく時間がかかった嫌な記憶が蘇って来ました。
無事入国審査を終えると、五通のフェリー乗り場から数百メートル離れた写真のバス停まで歩きます。建物の左側に見える「便民服务站」と書かれている場所が、バスの待合所になっています。
バス停までの行き方は少し分かりづらいのですが、フェリー乗り場を出て右方向に駐車場を突っ切ります。ここで「6路」のバスに乗り廈門駅に向かいます。10分ほど待ってバスは出発、1時間もかからず廈門駅前に到着しました。
駅ではまず、泉州行きの高鉄の切符を買うために列に並びます。しかし廈門駅から出る高鉄の便は少なく、仕方なく2時間以上先の切符を購入しました。
駅前の商業施設内にあるレストランで食事をしながら時間を潰しました。あまり大きな声では言えませんが、薄味淡泊な台湾料理が口に合わない私にとって、久しぶりの中国の食事は美味しくてたまりません。
最近はどこの駅にもマッサージチェアがあり、マッサージと充電しながら電車を待つことができます。30分15元。ただし、電子決済の「微信支付」か「支付宝」でしか支払いはできません。私は以前中国で仕事をしていたため、両方の口座にお金が残っており、今回の個人進香では、バスとお賽銭以外ほぼ電子決済を利用しました。
路上に自転車を停め、お菓子の量り売りをしている人もいまは電子決済です。中国の発展のスピードには驚かされます。
中国の銀行に口座がない方でも、微信支付を使用する方法があるようです。詳しく紹介しているブログがいくつかありますので、検索してそちらを参考にしてみてください。
泉州駅には1時間ほどで到着し、まず駅で2日後廈門に戻る切符を購入しておくことにしました。しかし窓口には長い列ができ、しかも割り込みが頻発したことで、ものすごく時間がかかりました。列に並びながら、時間に余裕のあった廈門駅でまとめて購入しておくべきだったと後悔しました。
その後駅からタクシーで予約したホテルへ向かい、チェックインをして部屋に荷物を置くと、すでに17時を回っていました。廟は18時に閉まってしまうため、急いで泉州天后宮に向かいます。幸い台湾でもお馴染みのYouBikeが中国の銀聯カードで借りることができました。
【泉州天后宮】
建立年:1196年
特徴:媽祖信仰を東南アジアへと広く普及させた廟。建築物としても非常に貴重なものであり、重要文化財に指定されている。
アクセス:泉州駅からタクシーで25分。泉州バスターミナルからだと徒歩12分。27路もしくは31路に乗れば、大隘門バス停から徒歩3分
参考HP: 泉州天后宮 - 維基百科,自由的百科全書
天后宮の媽祖像の前には、台湾の廟から贈られた媽祖像が4体祀られています。それぞれどの廟からなのかについては、ぜひ現地で確認してみてください。
お参りと過爐を済ませ、廟を見学していると、閉門の時間が迫っていました。参拝客はそれほど多くなく、ゆったりとお参りすることができました。
またこの日は關公の誕生日ということで、關帝廟は多くの参拝客でにぎわっていました。ただこの中国での誕生日は、複数ある台湾のどの誕生日とも違っています。媽祖廟は閑散としていましたが、商売の神様である關公はすごく人気があるようです。
お参り後はバスターミナルで翌朝の莆田行きバスチケットを購入しました。しかし始発が8:40と遅く、しかも1時間半かかるため、一旦購入したものの考え直し、ネットで7:40発の高鉄の切符を購入しました。その後バスターミナルにキャンセルに行きましたが、すでに窓口は閉まっていました。
翌朝6時前にバスターミナルへ行くと、幸いキャンセルすることができました。そこからタクシーで泉州駅に向かいます。渋滞もなく15分ほどで到着、しかし6時20分ではまだチケット売り場が開いていません。ただ遅く出発すると通勤ラッシュにぶつかり、またチケット売り場も混み合うため、早めの行動を選択しました。
泉州駅から莆田駅は30分ほどで到着し、そこからタクシーで文峰天后宮を目指します。駅からタクシーで30分、第二の目的地である文峰宮が見えて来ました。
【文峰天后宮】
建立年:1160年頃
特徴:泉州天后宮と同様に、海外に媽祖信仰が広まった過程で、非常に重要な役割を果たした。多くの進香団が、湄洲島を訪れる前に参拝に立ち寄っている。
住所:中国福建省莆田市荔城区文献路东段
アクセス:莆田駅からタクシーで30分、もしくは莆田バスターミナルからタクシーで数分
参考HP: 文峰天后宫
旧廟の媽祖です。旧廟の道路を挟んだ向かい側に新廟があります。旧廟、新廟の順にお参りをします。
お参りの際に中国の進香団に遭遇しました。中国でも進香団は観光バスで移動しているようです。
お参りを済ませた後は、タクシーで莆田バスターミナルへ移動し、窓口で文甲フェリー乗り場(文甲碼頭)行き「362路」のバスチケットを購入します。20分近くバスを待ち、出発後は1時間ほどで文甲フェリー乗り場に到着しました。
まずは湄洲島に渡るフェリーのチケットを購入します。普通のフェリーと高速フェリーがあり、普通の場合は20分、高速は12分ほどで到着します。ちなみに高速船のチケットは20元高くなります。
【賢良港天后祖祠】
建立年:宋代
特徴:媽祖の生まれ育った場所に建てられた、最も歴史のある媽祖廟の一つ。湄洲島へ参拝に向かう途上において、決して避けて通ることができない重要な場所である。
住所:中国福建省莆田市秀嶼區山亭鎮港里村
アクセス:莆田駅から363路のバス、もしくは莆田バスターミナルから362路のバスに乗り1時間で文甲フェリー乗り場へ、そこからタクシーで15分
参考HP: 賢良港天后祖祠 - 維基百科,自由的百科全書
その後は新しく建てられた新廟をお参りします。大きな媽祖像の隣には、台湾から贈られた多くの神像が祀られていました。
フェリー乗り場前からは、バスとカートが湄洲媽祖祖廟の麓まで出ており、そこから廟まで参道の階段を上っていきます。カートは1台貸切で30元、少人数だと多少割り引いてくれますがそれでも割高です。
麓の牌樓に到着しました。ここから廟まで、長い階段を上っていきます。
湄洲媽祖祖廟には敷地内に数多くの廟があるため、一体どこをお参りしたらいいのか分かりづらい問題があります。私の理解では、次のような順番で参拝して回ればいいかと考えます。
4.続いて、寝殿の右上にそびえる「朝天閣」をお参りします。
参拝を終え、高鐵まで時間に余裕があったため、帰りも歩いてフェリー乗り場に戻ります。窓口で高速船分の追加料金を支払い、高速フェリーに乗り込みました。文甲碼頭まで戻った後は、フェリー乗り場前から莆田駅行き「363路」のバスに乗り、1時間ちょっとの道のりです。
その後は来た道の逆をたどり、泉州 ⇒ 廈門 ⇒ 金門島経由で台中空港まで戻りました。後日大甲鎮瀾宮と白沙屯拱天宮を再び参拝して、個人進香は終了となります。過爐し持ち帰った御守りや御札は知り合いに配り、残った分は必要な方の手に渡るよう進香仲間に託しました。
費用一覧
※※ 金門島経由で行くか、直接台湾から空路で厦門や福州に入るかについては、台中-金門+小三通の費用が往復で約2万円となるので、それを下回る場合は、直接空路で中国入りした方が安上がりになります。
金門島滞在
台湾本島に戻る前に金門島に二泊し、廟や守り神である風獅爺を巡ってきました。
毎年旧歴4月12日に行われる「金門迎城隍」で有名な浯島城隍廟です。こちらの廟の御札はなかなかかっこよく、知り合いの分もあわせていただいて、過爐して持ち帰りました。
金門島や中国の福建省で見られる風獅爺です。北東から吹き付ける強風による被害や邪気から集落を守るために設置されています。週末にはこの風獅爺を巡るツアーバスも出ています。