徒 歩 進 香[巡 礼]

ハマるぞ台湾!道教文化

その他徒歩進香

 

「三月迎媽祖」時期に行われる中規模徒歩進香を中心に、いくつかご紹介してまいります。

 

 

[目次]

 

 

彰化南瑤宮笨港進香

二百年を越す最古の歴史をほこる南瑤宮笨港進香。三年に一度行われる「潦溪」と呼ばれる河を渡るルートが見せ場の一つです。

 

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※地図上のルートは最短距離が表示されています。

 

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概要

 

【彰化南瑤宮笨港進香】

 

主催廟:彰化南瑤宮

出発点:彰化南瑤宮(彰化市

目的地:新港奉天宮(嘉義県新港鄉)

開催時期:毎年2月から3月頃

開催期間:7日潦溪がある年のみ8日間)

移動距離:約280km

参加費:500元(帽子、タオル、巾着袋、お札、旗などがもらえます)

※申込をしなくとも参加は問題ないと思いますが、他の進香団の人たちとおそろいの帽子やタオルはきっと欲しくなるでしょう。

※※2019年は参加申し込みがなくなり、直接帽子や進香旗を購入する形となりました。

参加人数:4万人以上(報道)※実際は数千人規模です。

特徴:歴史が最も古い徒歩進香イベント。200年の歴史を有し、日本統治時代には10万人以上が参加したと言われる由緒ある徒歩進香イベント。3年に1回行われる潦溪有名。(次回は2021年)

住所:彰化市南瑤里南瑤路四十三號

アクセス:彰化駅下車徒歩23分

参考HP:

彰化南瑤宮

彰化南瑶宮-台湾宗教文化地図-臺灣宗教百景

 

雰囲気は?

まずはこちらの動画をご覧ください。

 

こちらは台湾人と結婚をされたアメリカ人“小貝"さんの動画です。進香を通しての盛り上がりが、非常に分かりやすく紹介されていますね。この方は台湾文化に関するいろいろな動画をアップしていますので、ご存知の方も多いかもしれません。

南瑤宮笨港進香のほかにも、大甲媽祖進香や北港媽祖遶境などに参加した際の動画もありますので、興味がある方はぜひ探してみてください。 

 

南瑤宮媽祖について 

台湾中部の彰化市に位置する彰化南瑤宮、この廟が主催している進香の目的地は新港奉天宮になりますが、決して新港奉天宮から分霊され建立された訳ではありません。

十八世紀半ば頃、ある工員が当時笨港にあった笨港天后宮のお線香の火を携え、彰化まで働きに出てきました。家の中におかれたその火がのちに神々しい光を放つようになり、その場所に媽祖の像が祀られ、廟が建立されました。それが現在の南瑤宮です。そしてその歴史を忘れぬよう、200年前に徒歩進香が始まりました。しかしその頃には、笨港天后宮は洪水で流されなくなっており、三体の媽祖像は三か所の廟に分散し祀られていました。そこでそのうちの一か所である新港奉天宮に進香団は向かうようになりました。(現存する笨港天后宮は、近年建立されたものです)

 

しかしさまざまな事情から、途中50年間徒歩進香は行われず、信者たちはバスなどを利用して進香を行っていました。その間、大甲媽祖進香や白沙屯媽祖進香などほかの進香イベントがどんどん人気を博していくことになります。そして2014年、かつての栄光を取り戻すべく、南瑤宮の徒歩進香が再び復活することとなったのです。 

 

9つある廟の媽祖会が3つのグループに分かれ、「大媽四」、「二媽五」、「三媽六」といったように持ち回りで進香が実施されます。2018年は「三媽六」の年でした。北港媽祖遶境の紹介内でも触れましたが、媽祖は6柱存在します。

地元の彰化には「大媽四愛吃雞、二媽五愛冤家、三媽六愛潦溪」という言い伝えがあり、意味は「大媽と四媽の進香祭典時には、信者は肉類の供え物を特に豊富に準備し、二媽と五媽の進香の際は、進香中にもめ事が起こりやすく、三媽と六媽の年には、河を歩いて渡らなければならない」というものです。

 

日程 

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※2018年の日程表です

 

目的地である新港奉天の手前にある笨港天后宮にて、媽祖の衣装交換の儀式「換龍袍」が執り行われます。また雲林県彰化県の境を流れる大河 濁水溪を歩いて渡る「潦溪」が行われるのは6日目となります。(潦溪は三年に一回)

 

目的地 

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南瑤宮笨港進香の目的地は、嘉義県北部に位置する媽祖廟として有名な新港奉天です。こちらの廟は、大甲媽祖進香の目的地でもありますね。ただ上の方で説明しましたように、南瑤宮の媽祖は奉天宮から分霊された訳ではありません。ちなみに大甲鎮瀾宮の媽祖も奉天宮から分霊されておらず、さらに言えば、白沙屯拱天宮も北港朝天宮から分霊されてはいません。進香の目的地のほとんどは分霊元の廟になるのですが、中にはそうではないというケースも存在しています。古く歴史ある廟になると中国から分霊されているところが多くなりますが、昔は中国まで渡ることは決して容易ではなく、その代わりとして台湾国内にあるほかの廟へ進香に行くことになったという歴史があるようです。中でも南瑤宮の場合はかなり特殊なケースであり、鎮瀾宮についてはいろいろな説があるため、説明するには少々複雑かもしれません。

 

2019年日程および概要

  3月24日 〜 30日

 

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徒歩進香自体の歴史はあっても、再開後数年しか経っていないため、まだまだ試行錯誤中の感じがします。申し込みは必須ではないと思いますが、申し込みをして周りと同じ帽子をかぶって参加した方が気持ちよく歩けるでしょう。

聞くところによると、進香参加者のほとんどは、今年神輿を出す3グループのいずれかに所属することになります。所属することで、お揃いの帽子やシャツがもらえ、荷物を運んでもらうことができ、宿泊、移動の保証を手にすることができます。しかし当然、なにかしらの役目を負わなければならず、常に自由に歩くというわけにはいかず、参加の日数も1日2日という訳にはいかないようです。

つまり個人で参加する隨香客はそれほど多くはなく、またその宿泊や交通については、当然ですが廟側のサポートは一切ありません。宿泊は駐駕する廟もしくはその近くで探すことになりますが、その場所が見つかるかどうかが今回の鍵となりそうです。また、途中老媽と四媽の2つのルートに神輿が分かれるため、どちらのルートを選ぶかについても判断が必要になってきます。

 

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今年は特に一般参加の申込などはないようです。その代わりに南瑤宮を訪れ、媽祖に参加報告のお参りをし、進香旗や帽子、タオルを購入しました。これで進香団の仲間入りです。ちなみに帽子100元、進香旗300元です。

 

徒歩進香レポート

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仕事を調整して、往路2日、復路1日の計3日間参加してまいりましたので、その行程をレポートします。今回の参加は、大甲、白沙屯に向けての事前トレーニングの意味合いもあります。

当日の天気予報は曇り時々雨、降水確率30%、最高気温26度。これに合わせて準備を行いました。それが大きく裏切られることになります。朝方は雨が降っていませんでしたが、廟に着く頃には雨が降り始めていました。

まずは媽祖に共に歩く旨の挨拶をします。そこでまず驚いたのは、人がとても少ないこと。廟内もそれほど混雑はなく、お参りもスイスイと出来ました。廟の外廊でカッパを着こんで出発を待ちましたが、失敗したことに簡易なものしか持ってきていません。

 

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出発の儀式が終わり、8時を周りいよいよ出発です。廟周りには人がだんだんと集まって来てはいましたが、それでも想像よりもかなり少ない感じがします。

今年は、神輿は老大媽、老四媽、聖四媽の3基が出陣します。最後の聖四媽について出発しました。ざっと全体を見た感じですが、私のような廟のグループに所属せず、個人で参加している歩きの隨香客は100~200人程度でしょうか。徒歩参加者数千人規模を想像していただけに、かなり拍子抜けです。日本統治時代には10万人以上が参加したと言われる徒歩進香なのですが、残念な限りです。

 

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雨が本降りとなってきました。しかも本日の最高気温は20度と、予報はいつの間にかに変更となり、寒さも追加されました。雨の中の歩きはモチベーション維持することが大変です。ただただもくもくと歩き続けます。しかし夜の雨の中の歩きよりは大分ましです。なぜなら水溜りをよけることができるからです。

 

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昼食会場に到着です。ちょっとうれしかったのは、今回のイベントではほかの進香より、少し肉が多めでした。ただ流水席はメニューが大体どこも同じですので、続くと正直飽きてきます。

 

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それほど多くはありませんでしたが、ところどころで写真のように、信者の方々が食べ物や飲み物を提供してくれました。ありがたい限りです。

 

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今回の進香では、途中神輿が2ルートに分かれ、しばらくしてまた合流します。神輿が分かれる分岐点では、このような看板が設置されています。

 

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先日もほかの進香団で来たばかりの溪湖福安宮に到着です。お参りをして、先を進みます。降ったりやんだりの天気で、気持ちが沈んでいたのですが、途中廟のグループに参加している進香仲間に会い、元気が出てきました。

 

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19時を回り、神輿より先に本日の目的地に到着しました。後半は途中で知り合った3人グループの人たちと一緒に歩きました。私はコンビニに立ち寄り多少遅れて到着したのですが、3人の姿はどこを探しても見つかりません。翌日も探したのですがやはりいませんでした。7日間の参加と言っていたのですが、どこに行ってしまったのでしょうか...(復路で無事再会を果たしました)

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本日は廟の2階で就寝です。陣頭グループは、みな車で彰化市まで一旦帰ったようです。ここはシャワーがないため身体を拭いて足をケアして寝る準備をします。この場所では20人ほどが寝たのですが、自転車やバイク参加者が5、6人、残りは徒歩参加者といった感じでしょうか。驚いたことに、寝袋もアルミマットも持たずに参加している人も数人いました。当然ながら、夜はかなり寒かったと思います。また四方八方からいびきが鳴り響き、深夜何度も起こされました。新たに耳栓が持ち物リストに追加されることになりました。

 

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二日目は朝7時に出発です。平日のため、さらに人が減りました。観光バスグループもいなくなり、陣頭もかなり減ったような感じがします。歩きの隨香客はわずか30人程度でしょうか。なんだかとても寂しく感じられました。今日も雨が降ったりやんだりの中の歩きとなり、午後になるとようやく青空が見えはじめました。

 

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立ち寄り先の廟でお参りをした後は、このように進香旗に御朱印を押し、平安符をしばりつけます。朱肉も赤なので、朱印を押してもほとんど見えません。

 

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濁水溪にかかる西螺大橋です。日本統治時代から建設が始まり、戦後完成した橋になります。ここを越えると、彰化県から雲林県に入ります。歩道がない上に約2kmと長く、夜に渡ることを考えると結構怖いですね。大甲媽祖でもここを通ります。 

雲林県に入り驚いたことは、擺香案をしている住人の方が一気に減ったことです。かつては四大廟の一つに数えられ、かなり広範囲に信者を抱えていた南瑤宮ですが、その管轄範囲は大分狭まってしまっているようです。

 

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西螺福興宮で昼食の後は、ひとり先行し先を急ぎます。神輿を待っていると、今日中に帰れなくなってしまうからです。途中雨宿りを何回か繰り返し、歩き続けました。

 

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夕方頃、本日の目的地である虎尾天后宮に到着です。途中寄り道して、先日進香に参加した虎尾福安宮にもお参りに立ち寄りました。進香団は20時ごろの到着になるので、それを待たずにここで下馬の挨拶をして、帰路につきました。

 

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復路は六日目に参加です。道中では、主に往路で知り合った人たちと雑談をしながら歩きました。幸い雨に降られることはなかったものの、立ち寄り先での休憩が多く、予定よりも大きく遅れての行程となり、逆に疲れたように思います。

 

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途中出迎えに来た友好廟と、「割符」による確認儀式が行われました。これは昔、友好廟を騙り香擔の灰を奪いにくる人たちがおり、それを避けるために行われていました。「香火」はそれほど重要なものなのです。

 

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夕食後は一人先行し、もくもくと夜道を歩き続け、本日の目的地である員林福寧宮にゴールしました。三日間の合計歩行距離は約110km。往路で雨に降られなければ、もっと楽に歩けたと思います。

 

参加した感想としては、期待が大きかった分だけ、その規模を含めて、いろいろな点で拍子抜けしたイベントとなってしまいました。ほとんどの陣頭が車に乗り先に移動して待っている進香団は、個人的にあまり好みではありません。陣頭は交代制でも一緒に歩き続けることが、進香の団結感を増してくれると思います。

残念ですが、かつての規模を復活させ、大々的に宣伝を行い信者獲得に成功した大甲媽祖進香との差を詰めるのは、恐らく困難でしょう。官制のイベントとなったため、それを望んではいないようにも思います。

 

 

高雄朝后宮徒步進香謁祖活動

  (期間:7日間、目的地:北港朝天宮)

     2019年 5月5日 〜 11日 

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南部ではおそらく最大級の徒歩進香イベントです。ただ一般の参加者、つまり隨香客はそれほど多くはなく、200人程度となるようです。参加を検討していますが、多くの徒歩参加者は観光バスに乗り、また大きく遅れると車に乗せられるため、短めの日程で参加となるかもしれません。

申込はFB上で可能です。参加費は3日以内1,500元、4日以上3,000元となり、進香イベントの中ではかなり高額の部類です。参加者は観光バスの席が割り当てられ、そこに座ったり、荷物を置くことができます。ただ徒歩参加者にとっては、全くメリットはありません。これにより、残念ながら不参加を決定しました。

 

 

雲林虎尾福安宮天上聖母謁祖進香

  (期間:8日間、目的地:鹿港天后宮)

     2019年 3月10日 ~ 17日 

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雲林県から彰化県に向かう徒歩進香イベントです。日数に対し距離もそれほど長くはなく、自由な雰囲気のイベントです。6日目には河を渡る「潦溪」がありますただ毎年ルートや日数に変化があるようです。

 

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今回は仕事の関係で、中間2日間のみの参加となりました。参加費がないため、「点心費」名目の寄付を行います。私の場合、1日200元、3日500元、5日以上だと800から1000元を目安にしています。もてなしが手厚かった場合や支給されたものが多い場合は、終了後さらに追加で香油箱にお賽銭を入れます。

もちろん参加費が無料の場合は、寄付をせず、感謝の気持ちだけでも大丈夫です。進香にかかる費用の多くは、信者の方々の寄付や廟の収入により賄われています。

糖廠媽の愛称を持つ媽祖の神輿のペースはゆっくり目で、荷物を預けるトラックがあり、また途中の休憩時間も長く、難易度はそれほど高くありません。

 

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初日の夜は、駐駕した溪湖福安宮の2階の片隅で就寝となりました。しかし21時過ぎに到着し、深夜2時出発です。しかも蚊が飛び回っており、結局1時間半程度しか眠れませんでした。次回からは顔を蚊から守る対策をしようと思います。

 

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二日目は雲林県に向けて、徒歩18時間の長丁場となります。進香団の先頭を歩く報馬仔の後ろを続きます。

 

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夕方からは今回の進香のメインと言ってもいい、濁水溪の大河を渡る「潦溪」です。神輿に付き添う私の姿も見えます。しかし河の水は膝ぐらいまでしかなく、期待していたほどスリリングなものではありませんでした。ただ水の流れは思っていたよりも速く、川底のぬかるみに足を取られると抜けなくなりやや危険です。

 

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河を渡り終え雲林県に入ると、素晴らしい花火が出迎えてくれました。こうして2日間の徒歩進香を終え、帰路につきました。

 

 

大港埔鼓壽宮天上聖母徒步祝壽會香

  (期間:4日間、目的地:台南祀典大天后宮)

     2019年 3月25日 ~ 28日  

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今年17年目を迎える、新興徒歩進香の中では歴史のあるイベントです。日程が合えば参加を考えていましたが、彰化南瑤宮進香と日程かぶりをしたことで、不参加となりました。

  

 

嘉義天后宮徒步謁祖進香

  (期間:4日間、目的地:三崁天后宮)

     2019年 4月4日 〜 7日

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南瑤宮同様官制イベントです。日程、距離と言った点から、参加しやすい徒歩進香だと思います。一日でも参加できないかを検討していましたが、メインとなる大甲媽祖、白沙屯媽祖の直前に休みをとることが難しく、残念ながら不参加となりました。

  

 

龍結福德宮天上聖母徒步進香

  (期間:13日間、目的地:北港朝天宮)

     2019年 4月9日 ~ 21日

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決まったルートがなく、田舎道のみならず、あぜ道など道なき道を進んで行くそうです。徒歩進香の先輩方からおススメされ、参加を計画していました。しかし残念なことに、大甲、白沙屯と日程が被ってしまったことで、断念することになりました。

 

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と思っていたところ、どうやら龍結媽に呼ばれてしまったようで、白沙屯媽祖から一日早く帰ってきたその時間を利用し、一日だけ参加してきました。進香13日間の日程のうち、往路が2日間、復路が11日間と、復路では雲林県のさまざまな場所をめぐり廟へと帰ります。龍結福德宮はもともと土地公の廟になりますが、媽祖が共に祀られています。

 

龍結媽進香の大きな特徴は以下の3つです。

・ルートが全く決まっておらず、道なき道を突き進む

・神輿が地域を巡行し、所々でその地に住み着く悪霊を捉える

・田舎ながらの人情味にあふれたイベント

特に2つ目はほとんど聞いたことのない特徴です。

またルートがないと聞くと、真っ先に白沙屯媽祖が思い出されますが、白沙屯媽祖はルートがないとは言っても、大きな方向性はある程度予測ができ、途中予測のつかないルートを通りますが、先回りも不可能ではありません。しかし龍結媽は本当の意味でルートがないのです。さらには道なき道をも歩き、時には山奥の獣道を突き進んだりもします。

 

白沙屯媽祖から戻り、たまった仕事を片付けていたところ、進香仲間からラインが届きました。そこには「龍結媽には絶対参加した方がいい」とのメッセージが… その言葉に背中を押され、翌朝始発に飛び乗り現地にむかうことになりました。

前夜神輿が駐駕した虎尾福安宮に一番近い斗南駅に、早朝6時過ぎに到着しました。そこから虎尾までタクシーで30分ほどかかります。神輿は6時に出発しており、その後のルートが全く分からないため、いかにして神輿に追いつくかがまずは第一関門です。

 

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私の背中を押してくれた知り合いはすでに下馬をしてしまっているため、全行程に参加しているほかの徒歩進香仲間に連絡し、逐次神輿の位置を送っていただきました。そしてなんとか無事に進香団に追いつくことができました。

 

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天気が良くやや暑い日となりましたが、風があったことで、それほど苦にはなりませんでした。日中はこんな感じで虎尾の街中を巡行し、いくつかの廟や民家で停駕しました。あれ、このままでは遶境と変わりないなあと感じていたところ、夕方からその本領を発揮します。

 

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川沿いの土手を進んでいた時、神輿が突然河原へ降り、好兄弟(悪霊)を捕まえに行きます。

 

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その後土手が行き止まりに達すると、そこに戻るという選択肢はなく、神輿は急な傾斜を滑り降ります。

 

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しばらく行くと、今度は廃屋に棲みつく悪霊を捕まえに行きました。

 

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また交差点に巣くう悪霊もたびたび捕まえていました。

この後、田んぼのあぜ道を突っ切り、道なき道を進んでいきました。

 

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こうしてその日の駐駕地が決まると、一旦廟に戻り、皆で夕食を食べて解散となりました。参加費は特にないのですが、「点心費」という名目で廟に寄付を行います。私はその後帰途につきましたが、皆さんは翌朝5時に集合、6時出発です。この日の歩行距離は約28kmでした。

 

今回は日程的に山の中を突き進むことはなかったものの、これまで体験したことがない、とても刺激的な進香を経験させていただきました。またそれ以上に、参加者の皆さんがとても親切で、すぐに仲間として受け入れてくれ、あれやこれやと世話を焼いていただき、うれしい反面、とても申し訳ない気持ちにもなりました。こういう部分が、徒歩進香仲間を惹きつけてやまない理由なのかもしれません。私が悪霊を捉えることに興味があると知った一部関係者からは、なぜか「魔神仔(悪霊)」と呼ばれることになり、その後ほかのイベントで顔を合わすごとに魔神仔と呼ばれ続けました。笑

また大甲媽祖、白沙屯媽祖という巨大イベントの直後だったということもあり、この小規模で歩きやすい進香団が、とても心地よく感じられました。いつか機会があれば、また歩いてみたいと思える徒歩進香でした。

 

 

魚寮鎮南宮前往松柏嶺受天宮徒步謁祖進香

  (期間:2日間、目的地:松柏嶺受天宮)

     2019年 5月26日 ~ 27日

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媽祖以外の徒歩進香も一つご紹介します。玄天上帝の徒歩進香です。私が初めて参加した徒歩進香も玄天上帝の進香になります。

雲林県西螺を出発し、南投県八卦山の山頂にある松柏嶺受天宮まで、玄天上帝とともに歩いて往復します。玄天上帝以外にも、白沙屯拱天宮から分霊された媽祖が神輿に乗り、ともに目的地に向かいます。深夜12時に出発し、翌日夜9時に帰還する計45時間の厳しい行程です。しかもルートが決まっていないため、自分のペースで歩くこともできません。

北港遶境の後体調不良が続き、病み上がりの状態で体力面にも不安もありましたが、思い切って参加してきました。

 

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深夜23時、出発の儀式が始まりました。観光バスでの参加者もいますが、多くは徒歩参加者です。隨香客はおおよそ200人程度でしょうか。

最寄りの街から距離があるため、西螺のバスターミナルと虎尾の高鉄駅から送迎車が出ていました。徒歩進香では基本的に、隨香客は現地集合が原則なので、とてもめずらしいケースです。

 

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真夜中の道を神輿の後について歩きます。白沙屯媽祖のように、神輿は十字路に到達すると、大きく左右に揺れながら進むべき方法を決定します。このような形式は、玄天上帝では初めてです。

 

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ボランティアの香客服務車も参加しており、歩き疲れた人は乗せてもらうこともできます。私も荷物を預かってもらいました。荷物がないだけで、歩きは格段に楽になります。

 

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停駕を繰り返しながら歩き続け、夜が明けました。神輿はところどころでこのように、その場に漂う「邪気」を取り払います。

 

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いよいよ受天宮に向けての山登りです。神輿が途中休憩に入ったため、先行して歩いていると、先導車が私に向けて拡声器でなにやら叫んでいます。進香で使われる言葉は基本台湾語なので、さっぱりわかりませんでしたが、「車に注意して」というような内容かなと勝手に判断していました。そこでほかの参加者に尋ねると、「体力のある人は神輿を担いで山登りを手伝って」という内容でした。体調が万全ではないものの、少しでも手伝おうと神輿を待って脇から支えて歩きましたが、すぐに置いていかれてしまいました。

 

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昼休憩後も山登りを続け、ようやく受天宮の門が見えてきました。予定よりだいぶ早く受天宮に到着です。受天宮は、徒歩進香、進香期見物、参拝などで何度も訪れている縁のある廟の一つになります。入廟後に儀式が行われましたが、長距離を歩いた後の立ったままの儀式はかなり堪えます。また前日から30時間以上寝ていないため、眠気との戦いでもありました。

 

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当初は体調を考え、一日で帰ろうかと考えていましたが、なんやかんやあり、流れに身を任せて翌日も歩くことになりました。そこで今夜は受天宮の香客大楼で就寝となります。「香客大楼あるある」のお湯が出ない水シャワーを浴び、新しい靴の慣らしが十分できていなかったため、3か所にできたマメの処置と足のケアをして早々に眠りにつきました。

 

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二日目は深夜2時半に起き、手早く出発の準備と足のケアを終え、4時前から始まる出発の儀式に参加します。今回は梅雨の時期にもかかわらず、幸い2日間共天候に恵まれました。

 

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往路は田中から山を登ったため、復路は二水方面に降りて、莿桐に向かうと誰もが予想していましたが、なんと再び同じルートで下山し、田中方面へと向かっていきます。

 

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途中神輿は道なき道を突き進みはじめました。みな興奮気味に神輿に続き、田んぼのあぜ道を一列で進んでいきます。以前参加した龍結媽の進香が思い出されました。

 

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濁水溪近くの廟に停駕した後、なんと神輿は河に向かって突き進み出しました。随香客たちの心の中で、「過渓」(河を渡る)をするのではないかという期待と不安が入り混じります。私は預けたバッグに入れてあるサンダルを持ってくればよかったと後悔していました。

しかし期待に反して、神輿は「邪気」を取り除き終わると、来た道を引き返して行きました。そしてこの後、ここまで順調に歩いてきた私の身体に異変が起こり始めます。

 

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河原から戻った後、急に呼吸が苦しくなり、歩きながら深呼吸を繰り返しました。もともとの体調不良に加えて、寝不足、さらに2日目の午後からは神輿が走ることが多くなり、それに必死についていくことで、何かがおかしくなってしまったようです。

もしかすると、神輿について邪気が充満するところへ行ったり、陰廟を見かけると必ず立ち寄っていたので、どこかで「煞氣」(邪気)にあたってしまったのかもしれません。進香でここまでの体調不良は正直初めてでした。この先は、リタイアするかどうかとの戦いになります。

 

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日も落ち、だましだまし暗闇の中を歩き続けます。そしていよいよ西螺大橋にさしかかりました。橋の手前で神輿が立ち止まったため、私は神輿を追い越して先に橋を渡ります。徒歩で渡るのは今回で4度目になりますが、毎回「陰」の気を強く感じており、さらに今回の体調不良が加わったことで、かなりつらい2kmとなりました。

 

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西螺市街地を巡った後、22時半を回り、鎮南宮にようやく戻ってきました。なんとか徒歩進香のゴール地点に到着です。ここでは最後に儀式が行われたのですが、私は体調不良で倒れそうになり、途中で抜け出し、外に座り込みました。そしてフラフラになりながら、帰路につきました。今回は途中リタイアした白沙屯媽祖進香急行軍の時よりも、ボロボロになったように思います。念のため帰宅後、大甲媽祖の進香旗で邪気を払いました。もしおかしな体調が続き回復しないようであれば、收驚を受けに行こうと思います。

二日間の総歩行距離は90kmでした。

 

 

秋季徒歩進香イベント

「三月迎媽祖」の春季だけではなく、9月から11月の日本では秋にあたる季節にも、それほど多くはありませんが徒歩進香が行われます。ただし9月の台湾はまだまだ夏真っ盛りなので、歩くとなるとかなり大変かもしれません。こちらでは、秋季に行われる徒歩進香をいくつかご紹介します。

 

豐原鎮清宮大甲謁祖徒步遶境進香

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全行程3日間を歩きました。 詳細は徒歩進香レポートへどうぞ。

 

 

豐原白沙屯媽祖徒步進香謁祖

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往路2日間を歩きました。 途中隊列より大きく遅れ、真っ暗な夜道を一人歩き続けました。徒歩進香では全行程を歩くよりも、往路のみ歩く方が正直楽しいです。

 

西螺新天宮北港朝天宮徒步謁祖進香

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早朝スタートに備え前乗りし、北港までの往路1日を歩きました。途中またまた隊列から遅れ、一人必死に神輿を追いかけました。 

 

草屯御天宮前往彰化南瑤宮謁祖徒步進香

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鎮清宮と日程被りしたことで、残念ながら参加できませんでした。参加した人から聞いたところによると、なかなかよさげな徒歩進香イベントのようです。

 

永康保安宮三王香路徒步往南鯤鯓代天府謁祖進香

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新興徒歩進香の中でも、十数年の開催実績があるイベントになります。王爺の進香参加は二度目でしたが、やはり中部と南部、媽祖と王爺のイベントでは雰囲気が異なります。陣頭や神輿が車に乗り、先に進んでしまうイベントはあまり好みではなく、また体調がよくなかったこともあり、途中リタイアとなりました。

 

 

部分徒歩進香イベント

上記全行程徒歩で行われる進香イベント以外にも、大庄浩天宮桃園龍徳宮、西螺福天宮といった部分徒歩進香のイベントが存在します。

 

大庄浩天宮北港進香

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一年おきに台中から北港までの進香と大庄での遶境を交互に実施しており、一部では台湾媽祖三大進香イベントの一つと称されています。しかし二日間の進香については、浩天宮も進香団募集要項にて明示しているように、部分徒歩進香となり、多くの区間を観光バスで移動しています。

 

桃園龍德宮四媽祖南巡遶境

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桃園龍徳宮進香は北部から中部鹿港を目指す、数千人規模の徒歩進香です。もともとは隔年で祖廟である麥寮拱範宮に向かっていましたが、距離が長いこともあり、近年は鹿港で折り返すようになりました。そのため遶境という名称を使用しています。

 

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そしてこの進香イベントも、部分徒歩進香になります。ただ浩天宮とは違い、決まった区間を歩く訳ではなく、多くの送迎トラックが進香団に付き添い、徒歩参加者を次々と否応なしに前方に送り届けます。このイベントの募集要項では、浩天宮のようにその旨を明示しておらず、申込時にも説明はありません。そのため、徒歩での参加を希望される方はご注意ください。

 

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私はそれを知らずに大雨の中参加をしましたが、歩き始めて3時間ですぐに送迎トラックに強制収容され、そこで初めて他の参加者の方から、部分徒歩進香であることを知らされました。陣頭もみな車に乗り移動しています。個人的に車使用を前提とした部分徒歩進香にはあまり興味がなく、残念ながら途中リタイアとなりました。

申込や参加時の交通費、参加費など結構な費用と時間をかけ、「三月迎媽祖」最初のイベントとして気合も入っていたため、悔いの残る徒歩進香となってしまいました。

 

西螺福天宮二媽往朴子配天宮謁祖進香 

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西螺から嘉義朴子に向かう雲林県を縦断する3日間の徒歩進香イベントです。こちらも部分徒歩進香として紹介されており、廟に問い合わせたところ、やはり部分徒歩との回答をいただきました。部分徒歩が実際どのような形式なのかについては不明ですが、地元民のみで構成されるさまざまな陣頭を見ることができる進香イベントのようです。

  

 

歩き通すことにこだわりがない方は、こういった部分徒歩進香は参加しやすいかもしれません。ただ多くの徒歩進香には、服務車や香客車が付き添って走っており、歩き疲れた時は、自分の意志で車に乗るかどうかの選択をできる仕組みとなっています。

全行程徒歩の徒歩進香でも、すべてを歩く参加者はそれほど多くはありません。皆さん歩きと車を使い分けています。歩き続ける人は、私のような徒歩にこだわりをもった人たちだけです。そのため、中規模以上の徒歩進香であれば、それほど心配する必要はないでしょう。

ひとつ注意点として、完歩を目指す参加者は、イベントによってはどうしても隊列から遅れやすくなります。神輿や陣頭は交代制になり、ほかの徒歩参加者たちは車に乗り先へ行ってしまうため、気づくと周りに誰もいないなんてことにもなりかねません。さらに私は途中で土地公廟や陰廟を見かけると、都度お参りに立ち寄っていたため、何度か「落単」(一人きりになる)を経験しています。そこで可能であれば、事前にしっかりルートを確認し、グーグルマップ上に落とし込んでおきましょう。

 

 

 

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