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徒 歩 進 香[巡 礼]

ハマるぞ台湾!道教文化

[道教巡礼]白沙屯媽祖進香レポート

 

 

白沙屯媽祖進香に参加しました。10日間の行程の内、往路1日、復路3日の計4日間を歩いたレポートを紹介いたします。

今後参加される方に向けての、進香道中詳細レポートになっています。

 

 

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※ 白沙屯媽祖進香については、こちらへ ※


※ 申込および参加までの流れについては、こちらへ ※


 

[目次]

 

 

参加初日(進香4日目)

今年の白沙屯媽祖進香は、もうひとつの人気徒歩進香イベントである大甲媽祖遶境進香と日程が被ってしまったため、先に大甲媽祖の往路を歩き、その後白沙屯媽祖に参加するという計画を立てました。

 

3日かけて大甲媽祖遶境進香の往路を新港奉天宮まで歩き切り、その夜は新港の隣町北港にあるゲストハウスに泊りました。翌日引き続き、白沙屯媽祖進香の往路最終日となる4日目に参加します。白沙屯グッズ一式は事前にゲストハウスへ送っておきました。

 

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昨夜神輿は褒忠という街に駐駕し、早朝5時に出発予定となっています。その後神輿は今日のうちに、台湾媽祖信仰の総本山である北港朝天宮に到着、往路のゴールとなります。私は深夜3時に起床し、出発の準備を整えました。

 

4時前には宿を離れ、一緒に褒忠までのタクシーを割り勘してくれる参加者を探します。朝天宮周辺には早朝にもかかわらず、白沙屯媽祖進香の香燈腳の姿をちらほらと見ることができました。そのうち何人かに話しかけている過程で、3人組のグループの方が一緒に連れて行ってくれることになりました。ありがとうございます。

 

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褒忠に到着すると、駐駕地となった褒忠派出所にはすでに多くの香燈腳たちが集まっています。媽祖に手を合わせ、今日から参加する旨の挨拶をします。

 

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4時半頃、人の流れに乗って少し早めに出発しました。駐駕地はものすごい人ごみのため、少し先で神輿と合流する計画です。白沙屯媽祖進香は、大甲媽祖よりも参加者が集中しやすいことが難しさの一つです。

 

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暗い空の下を歩いていると、6時頃、頭旗グループに吸収されました。私も頭旗の後ろに続く集団の中を歩きます。空がだんだんと明るみだしました。

 

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白沙屯媽祖進香は既定路線がなく、神輿の進む方向は神様の意志により決められます。そのため基本神輿の後方を歩く必要があり、そこには当然非常に多くの香燈腳が集中します。

 

そこで人ごみを避けるため、神輿の前方を進む頭旗グループの近くを歩いたりもしますが、頭旗が必ずしも神輿と同じ道を進むとは限らず、たびたび走って神輿を追いかけなければならない事態も発生します。

 

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大甲媽祖遶境進香と同様に、路上では多くの信者の方々により、香燈腳に飲食が提供されています。ルートが決まっていないため、提供場所の設営はかなり困難になると思われますが、皆さんそれを乗り越え、こうして香燈腳をバックアップしてくれているのです。本当に感謝という言葉しかありません。

 

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観光バスプランに申し込んだ方は、バスに乗り移動をすることもできます。こうしたバスが100台近く、進香団のそばを走っています。しかしバスは混雑を避けるため、必ずしも進香団と同じルートを走っているとは限らず、途中でバスに乗り込むことは容易ではないかもしれません。

 

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さらに私は「ドナドナ」と呼んでいるこのようなボランティアの服務車(香客車)が数多く走っており、疲れた香燈腳を運んでくれます。見かけたら手を挙げて合図を送ると、停まって乗せてくれますよ。

 

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この日は多くの香燈腳たちが頭旗よりも先行して歩いています。なぜなら北港に到着するこの日は、ほぼルートが固定されているため、先に進んだとしても、神輿が全く違う方向に行ってしまったということがないからです。

 

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途中GPS追跡アプリを確認すると、神輿が休憩を挟んだことで、少し先行し過ぎてしまっているようです。休憩をはさみながら、神輿との合流を待つことにします。

 

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午前8時を過ぎ、大甲媽祖遶境進香の素食期間がようやく終わりを告げたため、ひさびさ、ほぼ1週間ぶりの肉料理となります。とても美味しくいただきました。

 

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この巨大爆竹会場で休憩をとり、神輿を待つことにします。神輿が到着する直前に、この爆竹が鳴らされるはずです。

 

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頭旗が歩き過ぎると、爆竹に火がつけられました。風向きをよく考えていなかったため、なんと火の粉や塵がすべてこちらに飛んできました。結局多少火傷を負い、バックパックも少し焦がしてしまいました。

 

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その後なんと、ボディーガードに囲まれた蔡英文総統が歩いてきました。当然一目見ようと、ものすごい人だかりです。大甲媽祖遶境進香では、柯文哲台北市長に会うことは叶いませんでしたが、この日はばっちりと蔡総統を目にすることができました。

 

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そしていよいよ神輿が到着です。ここからしばらくは神輿の後ろについて歩きます。ただ神輿の後ろはどうしても混み合うため、少し一緒に歩いた後は、ほかの香燈腳に場所を譲り、神輿の前を歩くようにします。

 

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路上では時折、換花のために神輿を待つ信者の姿を見かけました。

 

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北港が徐々に近づいてきました。目的地である北港朝天宮に到着する前に、香燈腳は一旦その手前にある北辰派出所に集合することになります。その集合地点が近づくと、神輿はスピードを上げ始めました。香燈腳たちは、後ろから笛で追い立てられながら小走りで進みます。

 

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北辰派出所前は、神輿の到着を待ち構える人たちでえらい混みようです。押し合いへし合いの人ごみを避けるため、私は神輿を待たずに先に進むことにします。

 

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財神の廟として名高い北港武徳宮をお参りして、ここで小休憩をとりました。休憩後は廟裏の駐車場から抜けて、大混雑を避けるために神輿より一足先に北港朝天宮を目指します。

 

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集団を避けるためにわざわざ裏から抜けたはずだったのですが、意に反して再度神輿と合流してしまいました。歩いていると、周りの人たちとぶつかりまくります。

 

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白沙屯媽祖の神輿を出迎えに来た、北港朝天宮の報馬仔と遭遇しました。非常にいい味を出していますね。

 

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そしていよいよ北港朝天宮前で、神輿の入廟を見送ります。人ごみにもみくちゃにされながら、「進喔!進喔!進喔!」と大声で叫びました。こうして無事白沙屯媽祖進香の往路が終了しました。翌早朝に儀式が行われ、その後すぐに復路がスタートします。

 

私は仕事の都合上、どうしても一旦帰らなくてはならず、北港朝天宮をお参りし、媽祖に下馬の挨拶をした後、帰路につきました。

 

 

二日目(進香7日目)

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二日間で仕事を片付け、復路の3日目(進香7日目)から進香団に復帰できることになりました。この日は、前夜埤頭合興宮に駐駕した神輿が早朝5時に出発します。そこから海側の路線を選び二林を目指すのか、そのまま北上し溪湖を目指すのか、それを見極めてから神輿を追いかける予定です。

 

往路の際に、本来海側の路線を行くものと思われていましたが、意外にも山側のルートを選んだことで、復路では海側を進むものと私は考えていました。しかし予想に反して、神輿は溪湖へ向けて北上を始めたため、私も急いで溪湖を目指します。

 

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これまで何度か来たことのある溪湖福安宮で神輿の到着を待ちます。ここは非常に重要なポイントであり、左の鹿港への海側路線に行くのか、右の彰化市への山側路線を進むのか、ここで再度運命の分かれ道です。

 

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朝のニュースでも、本日彰化市内で大甲媽祖と出会うのではないかと報道されており、神輿より先行する多くの香燈腳たちは、彰化市方面に向かって歩いていきます。頭旗も彰化市方面へ進んでいきました。しかし鹿港方面を予想している私は、じっと神輿の到着を待つことにします。

 

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神輿が分岐点に到着すると、銅鑼の音と共にその躯体を左右に揺らしながら、進むべき方向を考えます。そして鹿港への道を選択しました。私の予想が的中です。彰化市方面へ向かった香燈腳たちは、慌てて戻ってきているものと思われます。

  

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ここからは神輿の後について、鹿港を目指します。この辺りで進香仲間の知り合いと遭遇しました。大きな荷物を手に、全行程完歩を目指し歩いています。少し雑談をした後、私は神輿を追いかけます。

 

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週末と言うこともあり、至る所で鑚轎脚が行われています。しかし香燈腳は鑚轎脚をしてはいけないという暗黙のルールがあるため、白沙屯媽祖進香では経験したことがありません。

 

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しばらく神輿のそばを歩いた後は、神輿の後ろの集団を離れ、ここからすこし先行することにします。

 

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今回歩いた中で、白沙屯媽祖と大甲媽祖の参加方法の違いを2つ感じました。 

1.まずは荷物の量です。大甲媽祖では大きなリュックを背負ったり、手押し車を押して参加する人たちがほとんどでしたが、白沙屯媽祖では、手押し車も、大きなリュックも見かけることは少なく、軽装の参加者が多くなっています。多くは観光バスプランを申し込んでいるか、比較的短期間の参加者が多いのかもしれません。 

 

2.自転車やバイクの参加者が、大甲媽祖に比べて少ないことです。白沙屯媽祖進香では、神輿の後ろに参加者が集中しますので、バイクや自転車での参加は危険という共通認識があるのだと思います。

 

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焼きウインナーは、今回の進香を通して路上で配られていた食べ物の中で、私が好んで口にしたものの一つです。これと湯包は、見かけると必ずいただいていました。

 

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医療ボランティアチームが、様々な場所で足のケアサービスを提供しています。今年は幸い医療チームのお世話になることはありませんでした。

 

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神輿が長時間の休憩に入ったため、私は鹿港を目指し先行します。ここまで来れば、今夜は鹿港での駐駕の可能性がかなり高くなっています。

 

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鹿港に近づくと、香燈腳の姿もだんだんと少なくなってきました。神輿はまだ休憩中です。

 

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その後順調に歩き続け、鹿港市街地に到着しました。ここは古刹鹿港龍山寺です。静かな雰囲気の中に重厚な歴史の流れを感じます。

 

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鹿港で早めに寝場所を探そうと考えていた時、以前泊ったことがあるゲストハウスを思い出し立ち寄ると、幸いまだベッドに空きがありました。これこそ先行の利ですね。ただ神輿が今夜鹿港に駐駕するとは決まっておらず、今日中に伸港を目指すのではないかという意見さえ耳にします。

 

そこで一旦チェックインして、もし神輿が鹿港から大きく離れるようであれば、チェックアウトして追いかけることに決めました。そして申込を一緒に並んだ自転車参加の知り合いからも連絡がはいり、ここに泊まることになりました。

 

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早速荷物を置いて、鹿港天后宮をお参りします。ゲストハウスで知り合った女性が案内してくれることになり、一緒にお参りをして回りました。この日も多くの進香団が訪れています。

 

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鹿港天后宮の進香期を堪能した後、食事をとりシャワーを浴び終わると、ベッドにごろんと横になりました。かなり眠かったのですが、神輿が駐駕するまでは落ち着かず、アプリで神輿の動きを追い続けていました。

 

鹿港では本日、天后宮と新祖宮の遶境が行われており、神輿はそれを避けるかのように、鹿港の街中を迂回して北上し、鹿港の北側で駐駕となりました。予想通りの展開です。媽祖の方角に手を合わせ、下馬の挨拶をしました。

 

翌朝神輿は4時に起駕となるため、私は2時起きで、3時にはゲストハウスを出発する計画です。これでゆっくり眠れます。

 

 

三日目(進香8日目)

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蚊帳をつるのを忘れて寝てしまったため、夜中蚊に刺され何度か起こされました。2時に起床し、出発の準備を整えた後、知り合いとともに神輿の駐駕地を目指します。

 

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3時半頃駐駕地に着くと、すでに大勢の香燈腳が集まっています。人ごみをかき分け、媽祖に起馬の挨拶をしてから、少し早めに出発しました。本日は伸港を通り、大甲の北側で駐駕するであろうと予測していますが、途中のルートは全く分かりません。

 

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早朝にも関わらず、多くの人たちが朝食を準備して待っていました。本当にありがたいですね。観光バスも続々と到着してきました。宿泊地からの移動を考えると、おそらく相当早く出発してきたものと思われます。

 

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駐駕地近くの建物が香燈腳の就寝場所として開放されていました。ゲストハウスに泊まっていなければ、私もここで寝ていたかもしれません。

 

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このように荷物を預かってくれるボランティアの服務車を時折見かけました。荷物を預けるメリットとデメリットを考慮した上で、必要があれば、荷物をお願いしてみてもいいかもしれません。

 

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神輿からも頭旗からも先行し、黙々と伸港を目指し歩いていると、空が少しずつ明るみ始めました。

 

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しばらくしてふと気がつくと、頭旗グループに吸収されていました。頭旗のすぐ後ろには、北港朝天宮の灰や火(炭)の入った香擔の姿も見えます。香擔はほかの徒歩進香で何度か担いだことがありますが、結構な重さです。頭旗グループは時速5.5kmほどで進み、このぐらいのスピードが心地よく歩けます。

 

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朝7時半頃、懐かしの伸港福安宮に到着です。昨年白沙屯媽祖を歩いた際も、往路でここに立ち寄りました。あの時はかなり苦しい状況での到着でしたが、今回はまだまだ余裕があります。大甲媽祖で痛めた足の裏の痛みも、だいぶ楽になってきました。

 

ここは例年往路で通過する確率が高い廟であり、今年も例に漏れず、福安宮では往路の際に神輿の到来を待ち構え、たくさんの食事を準備して待っていてくれたと聞きました。しかし意外にも神輿は山側ルートを選択したため、かなり無駄になってしまったそうです。

 

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食事をいただきながら、神輿の到着を待つことにします。こちらでいただいたデザートがとても美味しく、珍しくお代わりをいただきました。

 

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そうこうしている間に、神輿が多くの香燈腳を引き連れ到着しました。神輿が休憩に入ったため、私は早めに福安宮を出発します。

 

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本日は大甲方面を目指すと思われますが、橋を越えた後のルートが複数考えられるため、あまり大きく先行はできません。

 

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海沿いの17号線を進みそうな気もしますが、安全をとって真ん中の高架下の道を選びました。

 

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神輿が来るかどうかも定かではない路上でも、こうして私たちの到着を待ちかまえていてくれる人たちがいます。湯包を提供している車を見かけ、思わず列に並びました。

 

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神輿は休憩を終えると、同じ高架下のルートを進んできました。ややゆっくりめに歩いていたため、頭旗グループの銅鑼の音がだんだんと背後に迫ってきます。そこで集団に吸収されないようスピードを上げます。

 

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頭旗グループの銅鑼の音が聞こえなくなり、なんとか振り切ったと思っていたところ、なんと神輿は国道1号線方面へ方向転換をしていました。神輿は医療ボランティアチームが参加している病院の前で短時間停駕した後、そのまま北上し、2時間ほどの休憩に入りました。頭旗グループは来た道を戻ることは許されないため、遠回りしながら合流したものと思われます。

 

しかし、神輿がこのまま国道1号線方面へ進むとは限りません。なぜなら本日1号線上には、この日清水で駐駕する大甲媽祖の先行組がたくさんいることが想定されるからです。白沙屯媽祖はこれまでこうした状況を避けてきたため、再び海沿いのルートに戻り、61号線を北上し、大安区で駐駕という可能性も否定できません。

 

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昼前から小雨が降ったりやんだりを始めていましたが、分岐点にあるこちらの廟で休憩していると、雨は本降りになってきました。こうした神輿が通過しない廟でも、香燈腳に食事を提供していました。ありがたい限りです。

 

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14時に出発する神輿の方向性を見極めてからとも考えましたが、大甲通過に腹をくくり、レインコートを着込み、大甲方面に向かって歩き出しました。もはや香燈腳の姿などどこにもありません。白沙屯媽祖進香ではかなり珍しい光景です。

 

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1号線に入ると、予想通り路上には大甲媽祖の隨香客、白沙屯媽祖の香燈腳が入り混じり歩いています。さらに路肩には、大甲媽祖の陣頭の車が数多く停車していました。

 

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大甲に向かう途中の路上で呼び止められ、この清潔で広々とした休憩所で一息つかせていただきました。毎年参加していると、こうして自身の休憩所リストが出来上がっていくのだと思います。そしてその頃神輿は、予想通り大甲に向かい1号線へ入ってきました。

 

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大甲市街地に入ると、翌日の大甲媽祖進香団の到着に備えて、至る所で休憩所や補給ポイントの設営の真っ最中です。そんな中でも、数多くの白沙屯媽祖の補給車が、私たちの到着を待ち構えていてくれました。

 

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途中、鹿港で別れた知り合いとばったり再会し、少し一緒に歩いた後、大甲鎮瀾宮に到着しました。白沙屯媽祖の神輿が鎮瀾宮に駐駕する可能性は低いのですが、私は先立って大甲媽祖遶境進香の往路を歩き終えた挨拶に訪れました。白沙屯媽祖も数年に一度の間隔で大甲鎮瀾宮に立ち寄ります。

多くの香燈腳が寄り道をして、鎮瀾宮をお参りに訪れると思いますが、この時点ではまだほとんどその姿を見ることはありませんでした。

  

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大甲市街地からやや外れたところにある運動公園はトイレもあり、少し早めですが、ここに本日の寝場所を定めました。神輿は今夜、日南へ抜ける橋を渡る前に駐駕するだろうという予想です。残された距離からも、時間的にも、ほぼほぼそれで決まりだろうと考えていました。ほかにも2人、香燈腳がここで寝る準備をしています。

 

荷物を広げ、コンビニで買った夕食を食べ、身体を拭き、歯磨きをしました。そうこうしている間に、白沙屯媽祖の神輿が多くの香燈腳とともに向かいの道を通過していきます。その長く続く隊列と花火を眺めながら、足のケアをして、私は一足先に寝る態勢です。

 

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横になりながらGPS追跡アプリを確認していると、神輿は予想に大きく反して、大安渓にかかる橋を越え、なんと日南の駅前をも通り過ぎ、さらに先の工業地帯まで到達してようやく駐駕となりました。私が寝場所と定めた運動公園からは、2時間近く離れています。

 

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私は意を決して再び荷物をまとめ、レインコートを着込み、一人きりの夜の歩きを覚悟して、運動公園を飛び出しました。しかしそれほど多くはありませんでしたが、路上には暗闇の中を神輿を追って歩く他の香燈腳の姿がありました。小雨が身体をやさしく打ちつける中、彼らと雑談しながら、駐駕地を目指します。

 

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神輿はとうに過ぎ去り、こんなに遅くなったにもかかわらず、私たちを待ち続け、応援してくれている人たちの姿に感動し、目頭が熱くなりました。

 

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そして雨の夜道を2時間近く歩き、21時ごろようやく駐駕地となった民家に到着しました。狭い路地には、周辺の住民や信者たちが集まり、ものすごい熱気です。私は媽祖に下馬の挨拶をして、寝場所を探しに向かいます。場所が場所だけに、かなり困難な寝場所探しが予想されます。

 

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とりあえず小学校周辺で寝場所を探そうと、路上で食事を配っていた方に近くの学校の場所を尋ねると、少し先の工場が就寝場所として開放されていると教えてくれました。

そこにはトイレやシャワーもあり、さっぱりした後はほかの参加者の方と少し雑談をして、ありがたく休ませていただきました。

  

 

四日目(進香9日目)

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早朝外を見ると、大雨が降っていました。いよいよ私にとっての白沙屯媽祖進香最終日がスタートです。

神輿は明日拱天宮にゴールしますが、私は今日中に拱天宮をお参りして進香を終える計画です。もともと明日までの日程を確保していたものの、最終日はものすごい人出が見込まれるため、それを避けるべく一足先にゴールすることを決めました。

 

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神輿は6時起駕の予定ですが、私は5時半ごろ、小降りとなった雨の中、起馬の挨拶をして出発しました。観光バスグループも続々と駐駕地近くに集まってきています。

 

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しばらく歩いた先にある分岐点で神輿を待つことにしました。朝早くから、雨の中を多くの香燈腳が歩いています。左に見えるプラカードには、「お祭りではスリに注意」と書かれています。

 

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頭旗グループがやってきました。神輿の到着を告げる花火や爆竹の音も、だんだんと近づいてきます。

 

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そして神輿が到着し、私も多くの香燈腳とともに媽祖の後に続きます。

 

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少し歩いたところで、いきなりの土砂降りが進香団を襲いました。バケツをひっくり返したような雨とはまさにこのことではと言えるような突然の豪雨でした。

 

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まだ雨の降りしきる中、媽祖に先に進む旨の挨拶をして、まずは本日の駐駕地となる通霄慈后宮を目指します。その後は、大きな神輿への乗り換え儀式が行われる秋茂園(前の空地)を通り、最終的に拱天宮をお参りしゴールとなる予定です。

 

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先行するにつれ、だんだんと歩く人影がまばらになってきました。かつてこの道を歩いた時のことを思い出しながら、先を急ぎます。

 

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通霄慈后宮に到着しました。ルートが決まっていない白沙屯媽祖でも、必ず立ち寄る場所がいくつか存在します。それは北辰派出所、秋茂園、そして通霄慈后宮です。

 

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慈后宮でのお参りを終え廟を出ると、またもや大雨が降り始めました。そこで服務車グループのテントでしばらく雨宿りをして、雨の勢いが収まるのを待ちました。ここから先は香燈腳も少なく、もう補給ポイントはありません。

 

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しばらく待っても雨の勢いは衰えず、勢いよくテントの下から飛び出すと、最後の歩きをスタートさせました。レインコートを着ていても、すでに靴下、下着までびっしょりです。それでも残された力を振り絞り、歩き続けます。

 

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秋茂園を過ぎ、昔ながらの家並みが続く小道を進みます。通常往路でこの道を通り、復路の明日は恐らく大通りを行くものと思われますが、神輿が通ればものすごくにぎやかになるであろうこの場所も、今日はひっそりとしています。

 

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雨が降りしきる中、残された一歩一歩を味わいながら、ゴールを目指します。いよいよ拱天宮の門が見えてきました。

 

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そしてお昼前、小雨の降る中、無事白沙屯拱天宮に到着しました。

拱天宮をお参りをして、白沙屯媽祖進香の道を終えることになります。感謝の思いを込めて手を合わせました。

 

その後びしょびしょの服では電車に座れないため、駅で寝間着用のジャージに着替え帰途につきました。4日間の合計歩行距離は122kmでした。

 

 

最後に

昨年の急行軍とは違い、 また復路が中心となったことで、スピードはゆっくりめで、1日の距離も短く、だいぶ楽に歩くことができました。しかし大甲媽祖とは違いルートが決まっていないため、神輿の後ろには人が集中し、かつ先行することが難しく、人ごみが苦手で、長時間の休みは入れずにペースを守って歩くタイプの私にとっては、ある意味厳しい歩きとなりました。

 

頭旗の後ろはいいペースで進みますが、道を間違えれば、走って戻らなければなりません。神輿の後ろは香燈腳が集中し、かなり歩きづらい状況です。またペースが一定ではなく、鑚轎脚でつまったり、長い休憩時間があったりと、なかなか自分のペースがつかめません。これはすべての香燈腳の課題かと思います。私はルート予測を楽しみながら、頭旗より少し先行して歩きました。

 

今回もいろいろな方から力をもらい、歩き切ることができました。これには本当に感謝しかありません。恩送りの意味で、些少ですがボランティアの香客車グループに寄付をさせていただきました。

 

いつか、縁があれば、生きていれば、またこの進香の道で再会できればうれしく思います。

 

 

 

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