徒 歩 進 香[巡 礼]

ハマるぞ台湾!道教文化

[道教寺院]陽廟と陰廟

 

旅先でいい雰囲気の廟を見かけ、ふと立ち寄りお参りする。おそらく皆さんもこんな経験をされたことがあると思います。でもそれ、本当に大丈夫なのでしょうか?

 

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[目次]

 

 

陽廟と陰廟

台湾の廟には、公廟・私廟以外にもさらに重要な分類が存在します。それが陽廟陰廟です。

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※西螺福興宮(陽廟)

皆さんが日ごろ見かける廟のほとんどは陽廟になります。ただもしかすると、気づかずに陰廟をお参りしていたかもしれません。陰廟はむやみにお参りに行ってはいけないと言われています。それでは陰廟とは一体どのようなところなのでしょうか。

 

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※鹽水七歲姑娘廟(日本軍に殺された女の子の霊を祭る陰廟)

陽廟は当然のことながら神様を祀っています。しかし陰廟はなんと、悪霊(好兄弟)を祭っているのです。祭られている悪霊には、有應公、萬善公、百姓公、大衆爺、姑娘廟の女鬼などがあります。ではなぜ悪霊が祭られることになったのでしょうか。

  

なぜ悪霊を?

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台湾の民間信仰において、悪霊は神様と人間の間に位置付けられ、人としての性質を有し、意志や感情を持っていると信じられています。さらに悪霊は、人間に危害をもたらすと考えられており、人々は災いを取り除くために悪霊を祭り始めました。のちに悪霊を祭る廟をお参りすると、ある特定の物事において非常に効果があるとされ、多くの人がお参りに訪れるようになりました。それでは悪霊伝説について、いくつか見ていきたいと思います。

 

林投姐は台南に伝わる伝説です。その内容はいくつか種類があるようなのですが、海に出たきり帰ってこなかった夫の帰りを待ち続け、泣きながら死んでいった女性の悪霊だと言われています。村人たちは彼女の怨念を鎮めるため、廟を建ててお参りするようになりました。 ただし林投姐の廟はすでに取り壊されており、現在は跡地しかないようです。

大衆爺廟は、戦乱や疫病で亡くなり放置された死骸を、村に災いが及ぶことを恐れた村人たちが祠を造り、お供え物を供えるようになったと言われています。

有應公(萬善公、百姓公)廟では、誰からも祭られることのないさまよう悪霊を祭っています。 有應公は、好兄弟(悪霊)の中でもリーダー的存在です。

姑娘廟は、未婚の女性の怨霊を祭り、主に女性の方が参拝するそうです。

 

このように特定の人物の悪霊が祭られている廟と、不特定多数の無縁仏が祭られている廟があります。特定の人物の場合は、無実の罪で殺された人間、また事件や事故に巻き込まれて亡くなったり、幼くして、もしくは女性が未婚のまま亡くなった場合も悪霊になると信じられていました。

 

日本では?

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※東京神田に位置する神田明神

日本には仏教でも神道でも、寺社に「陰」と「陽」の区別はありません。ただ少し異なりますが、祟りを鎮めるといった点では、日本にも似たようなケースがあります。九州にある太宰府天満宮は、天神様として名高い菅原道真を祀っていますが、もともとの目的はその祟りを恐れ、道真公の鎮魂のためであったと言われています。

東京に位置する神田祭で有名な神田明神には、平将門が祀られています。もともとは将門の首塚を作ったことで、さまざまな厄災がこの地を襲うようになり、将門の祟りをおさめるために祀られたことが始まりだと伝えられています。

 

陽廟と陰廟の見分け方

廟の内部に光が入らず、薄暗くなっているのが陰廟であると言われていますが、実際薄暗い陽廟も多数存在しています。また建物の造りとして瓦部分に違いがあるようですが、いずれにしろ判別は簡単ではありません。

 

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このように光が差し込む、明るい陰廟も存在しています。

 

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神像ではなく、このような大きな石碑が祭られている場合は、陰廟である可能性が高いでしょう。ちなみに石碑の後ろには、身寄りのない死者たちの骨壺が収められています。

 

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ただ孔子廟や書院などのように、神像ではなく位牌が祀られている陽廟も多々あるため一概には言えません。特に南部で多く見かけます。

 

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反対に神像が祀られていたとしても、それが陽廟であるとは限りません。陰神にも神像が存在します。

 

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このような「有求必應」(願いがあれば必ず聞き届ける)という言葉は、特に陰廟でよく見かけます。

 

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他には「宮」や「廟」ではなく、「祠」という漢字が名前に使われている場合も注意が必要です。

 

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陰廟には一般的な廟のような建物だけではなく、小さな祠のようなものも多く、道端でそのような祠を見かけても決してお参りをしないことです。特に河辺や山の中などに多く分布しています。

 

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このように土地公とともに陰神が祭られているケースもあり、注意が必要です。むやみにお参りすることで、悪いものを連れて帰らないように注意してください。

 

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この祠では地基主が祭られています。地基主についてはいろいろな説があるようですが、土地公よりもより狭い範囲に根付いた、誰からも祭られない悪霊だと言われています。家を建てる際には、その地の地基主にお祈りをするそうです。たいていは家の敷地内にあるため、祠を見かけるケースは少ないかもしれません。

 

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彰化県を訪れた際、市街地にいくつもの百姓公廟を見かけました。百姓公とは有應公や萬善公の別名です。なぜこんなに百姓公があるのか、廟の方に教えていただきました。それによると、昔は平地に住む少数民族の風習により遺体を墓地などには葬らず、そこら中に埋めていたそうです。そのため近年建物を建てるために土地を掘ると、人骨が出てくることがままあり、その供養のために百姓公廟に持ち込まれるとのことでした。

そうなると彰化県に限られる話ではないとは思うのですが、他の地域では郊外以外でそれほど見かけたことがありません。昔この地に住んでいた人たちとなにか関連があるのかもしれませんが、その後何度か陰廟巡りに訪れたものの、その関連性は分かりませんでした。

また百姓公廟をお参りしても、名前を名乗らなければ大丈夫なようです。特に田舎の方へ行くと、地元の方は日常的に百姓公をお参りしています。

  

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こちらの地蔵庵では、真ん中に地藏王菩薩、向かって左に城隍爺、そして右側に大衆爺が祀られています。廟をある程度知っている方なら、あれ?と思われるかもしれません。なぜなら陰神である大衆爺が陽廟内に祀られ、しかも城隍爺より上の位置にいるからです。これは、もともと陰神であった大衆爺が陽神に昇格したためです。廟の隣の建物には百姓公も祭られています。大衆爺も百姓公も誰からも祀られない悪霊という点では同じですが、陰神としての地位は大衆爺の方が上です。

 

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台北龍山寺近くにある大衆爺廟です。名前から陰廟だろうとお参りは避けていたのですが、廟の方から「うちは陰廟ではないよ」と説明いただきました。もしかすると、こちらも昇格したケースなのかもしれません。

 

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陰廟でも誕生祭が行われることもあります。 身元不明の悪霊が祭られているため、悪霊を集合体として捉え、誕生日は廟や信者らが日にちを選んで決めているそうです。さらには地基主や石頭公にも誕生日があります。

 

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また大衆爺による遶境が行われることもあります。一般に「新莊大拜拜」と呼ばれ、旧暦5月1日に大衆爺の誕生日をお祝いし、新莊地蔵庵にて行われる遶境です。こちらの大衆爺もおそらく陽神に昇格したものと思われます。ちなみにこの遶境は、喧嘩が多いことでも有名です。

 

陰廟へのお参り

お参り時の作法については、陽廟と特に変わりはありません。ただお供えする金紙が陽廟とは異なります。またお供え物については、果物などよりも調理済みの食品や肉料理を好むようです。廟内に「服務台」があれば尋ねてみましょう。

 

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※大里杙七将軍廟(陰廟)

私が初めてお参りした陰廟は、台中にある大里杙七将軍廟です。七将軍廟では七将軍や犬神が祭られています。この廟をお参りした際、陰廟という認識は全くなく、すぐそばにある大里杙福興宮をお参りしたついでに立ち寄りました。そして後日知り合いから、陰廟であると知らされたのです。正直なところ、外観からは全く見分けがつきません。ちなみにこちらの七将軍廟は 、"失くしもの" を探す際に非常に霊験あらたかだと言われています。

陰廟をお参りし願い事が叶った際は、必ず再度御礼参りに訪れないといけないと言われています。大甲媽祖南巡遶境に参加した際、すぐ近くまで行ったため再度お参りに訪れました。その際お願いした失くしものは未だ見つかっていないため、まだ御礼参りには行っていません。

 

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彰化県で廟巡りをしていた時に、通りがかりに見かけた廟です。廟の前では普通に金紙が売られており、何の気なしにお参りに立ち寄ったところ、実は陰廟でした。そうなると売られているものは金紙の中でも、「銀紙」となります

 

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こちらは南鯤鯓代天府の敷地内にある萬善堂です。皆さん金運アップのお参りをしていたため、財運の神様かと思い私も一緒にお参りしたところ、またまた陰廟でした。名前から気がつかないといけないですね。萬善公は金運アップにも効果があると言われています。

 

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余談ですが、台湾人旅行者が日本を旅行する時、神社やお寺の厳かな雰囲気を逆に「陰」だと感じることがあるようです。熱田神宮高野山奥の院の参道など、あの神聖で心が洗われるような雰囲気を、逆に「陰」の氣に満ちていると感じるとは、国が違うと感じ方も違うものですね。

 

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逆に日本人にとって、神社や寺院とは本来静寂に包まれ心静まる場所でもあるので、龍山寺よりも、行天宮の雰囲気の方がしっくりくるかもしれません。私も行天宮へお参りに行くと心が安らぎます。 

 

陰廟と間違えられやすい廟

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※南投指南宮(城隍廟)

よく陰廟と間違えられるのが城隍廟です。しかし城隍廟は陽廟になります。城隍爺は好兄弟(悪霊)の親分とも言われているので、そう思われるのも仕方がないかもしれません。

 

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※嘉邑九華山地蔵庵(嘉義市

他にも地藏王菩薩を祀る地藏庵があります日本では子どもの守り神である「お地蔵さま」も、道教の世界では地獄の閻魔様のもう一つの姿と言われ、死者を裁くと信じられています。そのため陰廟のような認識を持つ人もいるようです。

 

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こちらの萬善祠では、真ん中に地藏王菩薩城隍爺包公が、左右に百姓公百姓媽がまつられています。こうなると、陰廟なのか、陽廟なのかすら判断がつきません。おそらく表面上は陰廟ですが、厳密に言うと陽廟に分類されるような気がします。

ちなみに包公は、清廉な役人として知られた包拯であり、中国では人気の高い歴史上人物として、包青天というタイトルで何度もドラマ化されています。包公は神様となった後、「地獄の管理人」をしていますが、陰神ではありません。

 

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鹿港の辺りへ行くと、道端でこのような祠を見かけます。小さな卒塔婆のようなものに、紙で作られた馬が祀られています。祠には陰廟も多いため、ちょっと近寄りがたい雰囲気を醸し出していますが、これは五営将軍の祠なのでお参りしても大丈夫です。

 

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さらに彰化県の南部の方に行くと、写真のような廟を時々見かけます。一見すると普通の廟のようですが......

 

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中に入ると、このように墓石のような石碑が安置されています。見るからに陰廟のようですが、これは「阿彌陀佛碑」と呼ばれるこの地域独特のもので、水害などから地域を守る仏様に感謝し、邪気を払うために設置されています。陰廟ではなく、日本で言うところの沖縄でよく見かける石敢當のようなものです。

 

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こちらは石敢當が置かれた祠です。魔物をよけたり、邪気を払ったりするための石敢當ですので、陰廟ではありません。日本では石敢當を拝むことはありませんが、台湾では線香などが供えられています。

 

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ただ石敢當には一般的に祠はなく、このように「石敢當」と彫られた石だけが祀られているケースがほとんどです。

 

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これは金門島で見られる「風獅爺」です。その効力は石敢當と似ていますが、より多くの事柄に力を発揮するようです。もともとは北東からの強風による被害から集落を守るため、主に島の東部の集落内に設置されました。さらに邪気を取り除く力があり、ほかにも金運アップに力を発揮する風獅爺も存在します。

また像ではありませんが、台南の安平区では「劍獅」の姿を壁の上に見ることができます。そこで金門の金沙や金湖では「風獅爺」探し、台南の安平では「劍獅」探しを目的に訪れる方も多いようです。

 

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石敢當とやや似ていますが、ここは石頭公(石佛公)という「石」を祀る廟になります。多くは大樹公と呼ばれる「大樹」とともに祀られています。

一見すると道教の廟とは異なるため、陰廟と誤解するかもしれませんが、陰廟ではありません。石や大樹に宿る自然の生命力が、病気治癒や子どもの成長を守る力をもたらすと考えられています。また石敢當のような邪気を払う効果もあるようです。日本の神道のような自然崇拝が、台湾にもあるのですね。

 

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このケースでは石の表面に南無阿彌陀佛と書かれていますが、恐らく阿彌陀佛碑ではなく、石頭公の一種だと思われます。

 

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山の方に行くと、写真のような石敢當に似た「石棚」を見かけることがあります。山中で見かけると、すこし不気味な感じもしますが、これは石棚式の土地公廟です。土地公信仰が台湾に伝わった初期には、このような形で祀られ、のちに多くは祠や廟へと変貌していきました。

山の中では、魔神仔と呼ばれる好兄弟(悪霊)が出没しやすいと言われていますので、同行者に子どもや老人がいる場合は特に、安全をお参りしておいた方がいいかもしれません。

 

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その土地公廟ですが、実は半陽半陰であると聞いたことがあります。ただ実際のところは陽廟として考えられており、お参りをしても全く問題ありません。

 

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※麻豆代天府地獄めぐりの建物

また陰廟ではありませんが、地獄めぐりを体験できる廟がいくつかあります。例えば台南北部にある麻豆代天府、高雄の蓮池潭ほとりにある慈濟宮、彰化の八卦南天宮などです。特に麻豆代天府の地獄めぐりなどは、そのいい感じの古さ加減からぞぞっとくるものがありました。

 

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しかし私が一番不気味だと感じた廟は、南投県にある名間萬丹宮です。こちらの廟では、廃棄されたり、廃廟となり引き取り手のない仏像を引き取り祀っています。その数は六千以上にものぼります。

廟公が亡くなり、現在は有志の方によって管理がされています。私が訪れた際は廟の門が閉ざされており、あきらめて帰りかけた時に有志の方が来て扉を開けてくれました。そのせいか廟の内部がまだ薄暗く、ひと際不気味に感じられたように思います。

 

お供えする金紙について

陽廟と陰廟では、お供えする金紙が異なります。陰廟で使われるものは、銀紙とも呼ばれます。

金紙は神様に送る「手間賃」のようなものですが、日本人からするとなかなか理解しがたい部分もあるかと思います。日本人は私も含めて、神社をお参りしてもお賽銭は小銭程度で、神社に寄付する人などほとんどいません。しかし台湾人は、廟により多くのお金を落とすことで、神様よりそれ相応の見返りがあると考えており、莫大なお金が廟に寄付されています。そのため、大きな廟では内部の利権争いが激しく、裏社会の人間が関わる廟も多くなっています。

 

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ほとんどの廟では、入口近くにこのように金紙が売られています。写真は陽廟用の金紙です。多くの廟では、「気持ち」をお賽銭箱に入れる仕組みになっており、価格が明示されている場合は、その金額を入れましょう。多くは50~100元です。廟内の売店で売られているケースもあります。金紙は複数種がセットになっていることが一般的です。購入後は神様の前のテーブルに置き、お参りを終えた後、外の金爐で燃やします。

 

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陽廟でよく供えられる金紙です。左下は四方金と呼ばれ、陽陰共通で使われます。

 

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これは陰廟用の金紙、いわゆる銀紙です。陽廟での金紙とは種類が異なります。陰神だけではなく、亡くなった身内や先祖に対しても銀紙を使用します。沖縄で使われる「うちかび」と似ていますね。陽廟と同様にお供えしますが、陽神と同じ金爐で燃やしてはいけません。

 

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陰廟で供えられる銀紙です。左上は「更衣」と呼ばれ、悪霊たちが交換するための衣服などが描かれています。

 

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このように実際の紙幣を模した金紙も存在します。写真は陰廟用ですが、陽廟用も売られています。こうした新しいタイプの金紙は、廟内部ではなく外部の金紙店などで売られていますが、廟の人にとっては、やはり廟内で購入してもらいたいという思いがあるようです。

 

陰廟でのタブー

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陰廟での注意点は、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

1.用もないのにむやみに参拝しない。もし参拝した時は、不浄なものを家に持ち帰る可能性を忘れてはならない。

2.まず参拝する陰廟の性質、タブーについてあらかじめ確認する。一部の陰廟はカップルで訪れてはいけない。また家庭円満をお祈りしてはいけない陰廟も存在する。

3.正月に陰廟を参拝してはいけない。何かに憑りつかれる可能性がある。

4.男性は陰廟で女運を願ってはならない。

5.陰廟への御礼参りについてしっかり理解する。願いが叶った際は、必ず霊に御礼参りをしなければならない。

とにかくこの『御礼参り』という行為が、陰廟では非常に大切となります。

 

代表的な陰廟

ネットで紹介されていた有名な陰廟をいくつかご紹介します。

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※苗栗造橋龍湖宮

・苗栗龍湖宮 水子の霊を祭る

・基隆老大公廟 戦乱で亡くなった悪霊を祭る廟

・新北土城大墓公 金運や刑事案件の解決に効力を発揮

・新北石碇姑娘廟 女性が恋愛運のために参拝

・新北石門十八王公廟 金運やくじ運UP

嘉義大林大眾爺公廟 病気治癒

・大里杙七将軍廟 探し物がある時に行くとよい

・南投集集大眾爺廟 日本軍と関係あり。樹齢七百年のクスノキが有名

・台南五妃廟 夫婦、カップルが忠節を祈る

・高雄苓雅聖公媽廟 夜の世界で働く女性に特に効果あり

・屏東烏龍大聖公媽廟 夫と浮気相手を断ち切らせる

 

[参考HP]

全台十大陰廟看這裡!求財求感情找失物個個都靈驗? | Fanily 粉絲玩樂

 

無縁仏信仰(孤魂信仰)について

ウィキペディアの内容を簡単に紹介させていただきます。

 

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無縁仏信仰は、東アジアにおける民間信仰です。天災や戦争、虐殺、動乱、疫病により亡くなった人、無実の罪で殺された人、犯罪者、交通事故などによる犠牲者、後継ぎがいない死者、幼くして亡くなった人など、こうした死者たちの魂を祭っています。

供養する人のいないことで祟りをもたらすと信じられ、この信仰が徐々に形成されていくことになります。もともとは閩南人や客家などの移民により台湾に伝わり、台湾の民間信仰となりました。

陰に関わる神様を祀っている城隍廟、地藏庵、東嶽殿、閻羅宮などは「神様」を祀っており、陰廟ではありません。両者はまったく違うものなので、混同しないように注意しましょう。

無縁仏は、地域や性別、埋葬の方法などにより呼び名も変わってきます。例えば以下のようなものがあります。

有應公、有英公、金斗公、百姓公、萬姓公、萬應公、萬善公、萬善爺、萬善同歸、無嗣陰公、地府陰公、水流公、水流媽、大眾爺、大眾媽、眾人公、眾靈公、大塚公、大墓公、聖公、聖媽、もしくは某姓公、某姑娘、某仙姑、某仙女、某先生などです。

福建省や台湾では、有應公、萬應公、萬善爺、大眾爺の呼び名が一般的に普及しており、台湾ではほかにも「好兄弟」と呼ばれたりしています。

 

古代、地位の高い人物が無実の罪で亡くなると、死後は神様とみなされ、有應公(無縁仏)とはされませんでした。また亡くなった後、皇帝や朝廷などから称号を与えられた人たちも有應公からは除外され、神様となりました。

中国の民間信仰では、誰からも埋葬されず、供養もされない死者、当時の宗教制度により未婚のまま亡くなった女性、事故や事件などで亡くなった人は、悪霊と見なされました。悪霊たちは成仏することができず、供養を必要としており、また復讐を行おうとすることで、人々は恐れおののきました。そのため、国や地域社会が、まとめて埋葬、供養し、悪霊を慰めることで、人々に平静をもたらしました。

歴代の皇帝は、この無縁仏信仰に対する姿勢を決めかね、時には奨励し、時には弾圧しました。最近の調査により、台湾における無縁仏を祭る廟の多くでは、先住民族である平埔族の遺骨を祭っている可能性が高いことが分かりました。平埔族はもともと平地に住んでおり、弔いの方法が漢人とは異なっていため、漢人が開拓時に、しばしば身元の分からない遺骨を掘りあてたことによります。無縁仏の祭祀については、多くは遺骨が発見されたり、事故や事件が起きた場所に小さい祠、すなわち陰廟を建てて供養を行いました。

 

一般的に、陰廟の多くには扉がなく、門神もいません。扉上方の横木に赤い布が掛けられ、一部の廟では「有求必應」の文字が書かれています。屋根の装飾も一般的な廟とは異なります。祭祀の後には、銀紙や亡霊用の金白銭などを燃やし、紙のお金を燃やすための炉は「銀炉」と呼ばれます。無縁仏信仰が広まるにつれ、廟の建築様式もさまざまに変化し、中には一般の廟と変わらない建物や、さらにはおみくじや乩童がいる陰廟まで存在します。

 

有應公は、通常では考えられない奇跡をよく起こしたことで、悪霊から神様に昇格し、地域の守り神となりました。台湾での習俗として、大病を患い入院する人は、入退院時、病院前に「香案」を設置し、病院内の無縁仏を拝み、その加護に感謝をします。さらには病院周辺に廟を建てるケースもあります。

 

台湾では、幼くして亡くなったり、未婚のまま亡くなった女性は、姑娘廟もしくは娶神主に祭られます。庶民の間において、無縁仏を祭る祭事の多くは、旧暦7月の中元節に行われます。醮祭の最終日には、無縁仏を導く儀式が行われます。

 

陰廟でのタブーについて紹介します。台湾の民間信仰では、一般的に日没後に陰廟をお参りすることは、タブーとされています。ただし博打での勝利や違法なことについてお祈りする場合はその限りではありません。

もし陰廟でお願い事をする場合は、平穏無事を祈るケースなども含めて、後日願いが実現した時には、必ずお礼参りに訪れなければなりません。その際は必ずお供え物を準備します。線香を寄進したり、演劇団を招いたり、廟の改築に寄付をするといった方法でも構いません。

 

参考:孤魂信仰 - 維基百科,自由的百科全書

 

最後に

陰廟は特別な目的がない限り拝んだりはせず、もしお参りする際は、十分その性質を理解した上で訪れて下さい。

台湾に伝わる怖い言い伝えとしてはこれ以外にも、台中の「紅衣小女孩」や「幽霊船」、さらには中元節の「好兄弟」や「魔神仔」、「肩叩き」などがあります。そして恐ろしい風習として、「冥婚」や「改運」の紅包、さらには彰化の「送肉粽」などが現代でも残っていますので、興味がある方は調べてみてください。「送肉粽」が行われる際は、新聞やテレビのニュースで場所と時間が報じられ、その時間は決して近づかないようアナウンスが流れます。もし良くないものに憑りつかれた可能性がある場合は、陽廟に行き収驚を受けましょう。

道端に赤い封筒が落ちていても、くれぐれも拾わないように......

 

 

 

 

 

 

 

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