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ハマるぞ台湾!道教文化

[道教行事]搶頭香レポート(台湾版福男)

 

台湾版福男は、旧暦大晦日の深夜に行われる行事であり、毎年春節のニュースには、「十年目の悲願達成!」や「史上初!女性が勝ち取る」といったような文言がおどります。今回は、この道教行事「搶頭香」をレポートしてまいります。

 

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[目次]

 

 

搶頭香とは

まずはこちらをご覧ください。

上空からの撮影は見ごたえがありますね。私も常々あの集団の中で廟に走り混む一人になりたいと思っていました。

旧暦の大みそか深夜、線香を手にした人たちが廟に駆け込み、先を争い炉に線香を突き立てます。一番最初に炉に挿された線香は「頭香」と呼ばれ、信者たちは新たな一年の幸福を願い、頭香ゲットを目指し走るのです。さらにそれだけではなく、頭香を勝ち取ることで豪華な記念品をもらえることもあります。

 

毎年1月に日本の西宮神社で行われる福男と似ていますね。ただ台湾の場合、西宮神社ほどの距離はなく短距離勝負となります。

 

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実は昨年末も搶頭香に参加するべく、鹿港に行ったのですが、残念ながら搶頭香は行われていませんでした。大きな廟ならばどこでも行われているだろうという思い込みからくる失敗です。

そこで今年は事前にしっかりと調べ、有名なところでは、大甲鎮瀾宮、新港奉天宮、彰化南瑤宮、西螺福興宮などで行われていることがわかりました。ということで、今年は新港奉天宮に狙いを定め、その隣町の北港で年越しをすることに決めました。

みそか深夜から初一の早朝にかけて、新港奉天(23時15分開門) ⇒ 北港朝天宮(23時20分開門) ⇒ 北港武徳宮(5時15分開門) と有名な廟の搶頭香をめぐる計画です。

 

新港奉天

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拠点とした北港から廟のある新港までは、20時半の最終バスで移動しようと計画していました。しかしバス乗り場に行くと、なんと大みそかは運休。田舎町では流しのタクシーもほとんどありません。そこでホテルで教えてもらったタクシー会社に連絡、手配しました。新港までは15分ほど、料金は250元です。

 

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21時半ごろ奉天宮に到着すると、廟の前ではすでに数人の若者が場所取りをしています。どうやらあそこがスタートラインとなるようです。23時15分の搶頭香まで2時間弱、この時点で並べば最前列をキープできそうですが、まだまだ並びません。

 

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廟前では大みそかの音楽会が開かれています。有名な廟なので芸能人が来るのかと思いましたが、どれも素人のおばちゃんたちのグループでした。

 

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まずは奉天宮の媽祖にご挨拶です。 そして今年の大甲媽祖進香では、必ずここに歩きつくことを約束しました。

 

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線香を最初にこの天公炉に突き刺せば勝利です。

 

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搶頭香用の太い線香は、廟前のお店で1本10元で売られています。すでに火がつけられていますね。

 

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22時を回り少しずつ人も増えてきましたが、まだまだそれほど多くはありません。私も本気で頭香を狙っているわけではないので、列の前方はガチ勢に譲ります。

 

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22時半になると、新年の開門に備え廟の扉が閉められました。

 

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見物客も少しずつ増え始めてきています。

 

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私もここで後列に陣をとりました。この辺りならゆっくり走っても大丈夫だろうという位置取りです。

 

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安全のために観客とコースがロープで仕切られました。スタートライン上にも同様にロープが張られています。

 

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23時を回り、安全に関する注意が行われます。いよいよスタートです。見渡すと、ざっと七、八十人が線香を手に並んでいます。そのうちガチ勢は十数人ほどでしょうか。

 

カウントダウンの5、4、3、2、1でスタートです。実際の様子はこちらの動画をご覧ください。 

実際ガチ勢はフライングしたもの勝ち状態です。後ろの方でゆっくり走ってくる私の姿もかろうじて映っていました。笑

 

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炉の中に線香を投げ込みゴールです。ただコース上では、後ろから押されたり、段差が見えなかったり、ロープに足を引っかけそうになったりと、短い距離の中に危険が満載でした。

 

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最後尾の歩きの参加者たちの後方から、最後にもう一度手を合わせます。これで搶頭香は終了となりました。

 

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廟から外に出ると、そこには長い行列ができていました。どうやらこの後「紅包」(お年玉)が配られるようです。せっかくなので並びたかったのですが、北港朝天宮の搶頭香があるため、すぐにタクシーを呼び、北港に向かいます。

 

北港朝天宮

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北港に戻ると、24時近くになっていました。北港朝天宮の搶頭香は23時20分スタートだったため、すでに門は開いています。しかし朝天宮の場合は奉天宮と違い、搶頭香は先を争い順位をつけるものではなく、新年を迎えた際は順番に並んで、その人にとってその年最初となる線香を炉に立てることを意味します。これが昔から伝わる本来の意味での搶頭香ですね。頭香を奪い合う方式は、伝統から離れた商業化の結果と言えるのかもしれません。ニーズがあるところにはお金が絡みますので。

 

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私の頭香を炉に立てお参りし、北港朝天宮での搶頭香は終了です。その後廟前で配られる「錢母」の列にならんでから、ホテルへと戻りました。

 

北港武徳宮

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翌朝は4時起きで搶頭香に向かいました。朝天宮から歩いて30分ほどのところに位置する北港武徳宮、荘厳な建物が印象深い廟です。

財神を祀る廟としては、台湾で一番有名な廟であり、商売繁盛を祈る人々が参拝に訪れ、南投県の竹山紫南宮、屏東県の車城福安宮とならんで人気の高い、金運アップに効果がある廟なんですね。

搶頭香は5時15分からですが、到着時まだ扉は閉められていませんでした。ここの搶頭香も朝天宮と同様に先を争うものではなく、列に並んで順番に線香を供えます。

 

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まずは財神から廟内の各神様をお参りして回ります。

 

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荘厳な廟ですね。息をのむ美しさです。昨年の進香の際に初めて立ち寄ったのですが、その時の感動がよみがえってきました。

 

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一通りお参りを終え外に出ると、すでに扉は閉められ、長い行列ができていました。私も細い線香を手に列に並びます。 

 

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5時15分扉が開きました。順番に線香をお供えし、武徳宮での搶頭香を終えることができました。これで金運も上昇となるといいのですが... お参り後はふたたび廟の外に出て、「發財金」の列に並びました。

 

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武徳宮は門も立派ですね。こうして後ろ髪を引かれるような思いで廟を離れ、歩いてホテルまで戻りました。

 

危険性について

新港奉天宮のような搶頭香の場合、当然それ相応の危険が伴います。現実に毎年けが人も出ているようです。

・場所の取り合いによる喧嘩

・走り込む途中での接触や転倒

・火のついた線香による火傷

などがあげられます。

どうしても頭香を狙いたいという人以外は、後ろの方でゆっくりと歩いて参加した方がいいでしょう。2番も100番も変わりませんから。

 

また数年前には事故ではありませんが、動画のような「事件」も起きています。

彰化南瑤宮で行われた搶頭香において、廟のボランティアスタッフとして参加していたおじいさんが、参加者たちが駆け込んでくる前に、突然身をひるがえして頭香を奪ってしまったという思わず笑ってしまうような事件がありました。

 

錢母・發財金について

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旧正月には、「紅包」、「發財金」、「錢母」などが、参拝者に配られます。

左が北港武徳宮でもらった「發財金」、右が北港朝天宮でもらった「錢母」です。
「發財金」は、このお金を使用することで、より多くのお金を招く効果があると言われています。本来の意味は、廟から借り入れるお金のことを指します。

「錢母」は、お財布にいれたりすることで金運を上げる効果があるようです。

 

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「錢母」と言えば、南投県にある竹山紫南宮のものがとても有名です。ここは春節の時期に台湾でもっともにぎわう廟の一つであり、特に初四にはものすごい人出となります。

 

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毎年旧暦1月1日に配られる紫南宮が製作する独自の「錢母」は、多くの人を惹きつけ、早い人は数日前から並び始めます。当日朝には7万人以上が7kmに渡り列を作ったそうです。

 

最後に

台湾で春節を過ごす機会がある方は、興味があれば、ぜひ一度搶頭香に参加してみてはいかがでしょうか。参加までしなくとも、見物するだけでも十分楽しいですね。また「發財金」や「錢母」は、とてもいい記念になると思います。

 

 

 

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