より深く白沙屯媽祖進香を理解していただくために、この記事では、参加申込みの際に白沙屯拱天宮より配られるさまざまな疑問に答えたチラシや、香燈腳の心得に関する案内を紹介します。さらに日本語での説明も記載されている苗栗県政府文化観光局が作成した冊子「白沙屯媽祖徒歩進香!」の画像データを掲載しています。
また白沙屯媽祖網路電視台の「白沙屯媽祖進香特別番組」で発信された参加初心者にむけての情報についてもあわせて解説いたします。
※ 白沙屯媽祖進香については、下記ページへどうぞ ※
[目次]
白沙屯媽祖進香一問一答
[進香前]
Q.「進香」ですか? それとも「遶境」?
A.古来より、白沙屯拱天宮では「進香」という名を使っています。ですので、進香!です。
Q.進香の日程を教えてください。
A.毎年旧暦12月15日の午後1時に、擲杯の占いにより媽祖にお伺いをたて決定します。月、日、時間の順に決定され、このため毎年の開催日数は定まってはいません。
Q.申込はいつから始まりますか?
A.旧暦12月15日に日程が決定した後、Facebookにて詳細を発表します。[https://www.facebook.com/bstmz/]
Q.進香に申し込みをするにあたり、参加資格の制限はありますか?
A.両親やまだ結婚していない兄弟が亡くなってから一年未満の場合、もしくは葬儀に参加し棺に入る前の遺体を目にした人は参加してはなりません。その他については特に制限はありません。
Q.進香に参加したいのですが、どのように申し込めばいいですか?
A.廟を訪れて直接申し込みをしてください。申込者は旧暦12月15日以降に自ら白沙屯拱天宮に来て申込書を受け取ってください。その後受付日がFB上にて発表になった後、申込に訪れてください。(その際は知り合いの方にお願いしてもかまいません)
Q.進香に参加する際、申込は必要ですか?
A.1. 白沙屯媽祖進香の主な目的は、朝天宮で行われる「進火」と呼ばれる儀式です。申込者の方々の姓名は祈祷文の中に記載され、北港朝天宮の炉にて焼かれます。その灰は「香擔」に入れられ、火を絶やすことなく拱天宮まで持ち帰られます。
2. 沿道で食事や飲み物を準備している信者の方々は、申込者の人数によりその必要な量を判断しています。
[進香中]
Q.進香のルートは?
A.白沙屯媽祖進香では、事前にその日程のみが決められ、ルートは決まっていません。進む方向は「行轎」という方式で媽祖により指示がなされます。これは神の意思であり、決して遮ってはいけません。
Q.進香中の食事は、精進料理にすべきですか?
A.頭旗が立てられてから3日間は精進料理(肉抜きの食事)にしなければなりませんが、進香中の食事に制限はありません。
Q.進香道中での食事はどのようにすればいいですか?
A.進香の沿道では多くの信者の方々が飲食を無料で提供しています。香燈腳の皆さんは常に感謝の心を忘れず、必要な分だけを受け取り、決して無駄にしてはいけません。もし食事の提供を受けられなくとも、香燈腳は自らそれを解決し、どんな状況においても柔軟に対応しましょう。
Q.進香中の宿泊はどうなりますか?
A.1. 白沙屯媽祖進香ではルートが決まっていないため、事前に宿泊を手配することができません。北港に到着する日も、現地では十分な宿泊施設が準備されていませんので、自ら宿泊場所を探してください。
2. 「観光バスプラン」を申し込んだ参加者は、神輿がその日の目的地に到着した後、すみやかにドライバーもしくはアテンド係と連絡をとり、以下の方法で宿泊場所を選んでください。
① ドライバーもしくはアテンド係が手配した宿泊施設に宿泊する。
② 自ら宿泊先を探すか、神輿の目的地近くで就寝場所を探します。その際はバスの出発を妨げとならないよう、速やかにバスから荷物を受け取ってください。
Q.進香での注意事項やタブーはありますか?
A.1. 頭旗、香擔、神輿、神像はみな神聖なものであり、決して触ったりしないように注意してください。
2. 神輿の進む先や道の選択を行う際には、速やかに場所を開け、現場が混乱しないよう心掛けてください。
Q.「起馬」「下馬」はどのような意味ですか?
A.「起馬」は媽祖の神輿が出発する前、頭旗がまだ神輿の脇に立てられている時に、神輿の前で出発の挨拶をすることを言います。
「下馬」は神輿がその日の活動を終え、頭旗がその場に戻ってきた際、その日の終了の挨拶をすることを指します。
[進香後]
Q.「往復徒歩」「片道徒歩」の錦旗を受け取ることができる資格とは?
A.「往復徒歩達成」とは、毎日の出発到着において、かかさず「起馬」「下馬」を行い、かつ進香の全行程を車やバイク、自転車などの交通手段を利用せず、媽祖の神輿とともに全行程を歩き通すことを指します。
「片道徒歩達成」は、日々かかさず「起馬」「下馬」を行い、北港までの往路、もしくは白沙屯までの復路を完全徒歩で達成することです。
Q.「往復徒歩」「片道徒歩」の錦旗はどのように申込みまた受取ることができますか?
A.いずれかを達成した人は、媽祖像が拱天宮に安置された後、媽祖に「下馬」の報告を行います。その後廟が指定した時間、場所において、氏名を登録し、その場で錦旗を受け取ります。登録の受付けは「開爐」の儀式が終了するまでとなります。
もし錦旗が不足し当日受け取ることができなかった人は、その場で登記だけを行い後日改めて受け取るものとし、日時はその場で伝えるものとします。ただし期限を過ぎても受け取りに来ない場合は、その権利を放棄したものとみなします。
香燈腳の心得
[進香を歩く上での心得]
・白沙屯媽祖進香の隊列は、先頭に頭旗、媽祖が乗る神輿はその後方を進む。銅鑼を鳴らすことで連携を図り、香燈腳はその銅鑼の音の中を歩く。その空間は「香燈腳が歩く領域」され、まさに白沙屯媽祖徒歩進香の主要部分であると言える。
・太鼓を載せた車は頭旗の前方、廟の公用車は隊列の後方に続く。交通警備の車は隊列のそばに付き添うが、参加者の車がこうした位置を走ることは禁止されている。
・拱天宮から参加者に配られる腕章は香燈腳であることを示し、助け合いできるよう常に装着していなければならない。また交通整理の指示には従い、道中の安全に気を配ること。
・香燈腳は常に自らの体調を管理し、体調に異変を感じた際はすぐさま助けを求め、無理して歩き続けることをしてはならない。
・神輿が移動している時は速やかに道を譲り、現場の秩序を守らなければならない。神輿が停駕する際は、隊列に追いつかない状況を避けるために、遠く離れすぎないようにする。
・進香団に付き添う車両は、識別用の紅綵と三角形の黄色い旗を取り付け、交通誘導の指示に従わなければならない。
・進香団に付き添う車両は、隊列の後方もしくは数キロ先に進んだ場所で休憩するものとし、また路肩に並列駐車したり、追い越し車線を低速で運転することを禁止する。
・休憩時に停車する際は路肩に寄せ、隊列がすべて通過した後に再出発するものとし、徒歩参加者が歩く区間を走り邪魔をしてはならない。
・車両は通勤時間帯に市街地を通ることは避け、神輿の後から離れ市街地を抜けた後に追いつくようにする。
・神輿が駐駕する際、車両は駐駕後に隊列へ戻り、ともに進香の秩序を守らなければならない。
[飲食や宿泊での心得]
・白沙屯の伝統において、進香期間中の飲食・宿泊は自ら手配しなければならない。また進香中は素食でなくともよい。
・香燈腳は自制を旨とし、食事は腹七分目を心掛け、消化の悪いものは避け、飲食により進香団へ迷惑をかけてはならない。
・進香途上において、親切な信者らが飲食の提供を行っているが、香燈腳は礼節を持って適量をいただき、ゴミの分別を守り環境保護に努めなければならない。
・感謝の気持ちを忘れず、食事を奪い合ったり無駄にすることなく、飲食を提供する人たちに対し礼儀正しく接すること。こうして力を合わせ媽祖の尊厳を守ることに努めなければならない。
・気の向くままに進む媽祖のスタイルは、香燈腳がどのような環境にも適応できるための素養を養っている。また進香中には、神輿が駐駕した後にその日の休息場所を探すこと。
・観光バスプランの香燈腳は速やかに自らの乗るバスを探し出し、ドライバーと力を合わせ、乗客はみな駐駕地から近い宿坊などに宿泊するものとする。
・野宿をする者は、神輿が駐駕する工場や民家にて寝場所を借りたり、テント張ったり、トラックの上で休息する。また民家でシャワーを借りてもよい。
・媽祖を通じた貴重な縁を大切にし、水や電気は無駄にせず、他の人たちの休息を妨げず、その場を汚してはいけない。こうした正しい行いにより、白沙屯媽祖のイメージと尊厳を守らなければならない。
[地域信仰への尊重]
・香燈腳は謙虚な心で白沙屯地域の儀礼を学び、習慣を尊重し、白沙屯進香の特色を体得しなければならない。
・進香途上においては、互いに助け合い、軽はずみな言動は避けなければならない。
・頭旗と香擔は進香において大切な聖なる用具である。触ったり移動を妨げたりしてはならない。
・白沙屯媽祖進香の特色の一つは、神輿による決められる進行方向です。神輿が道の選択を行う際は、速やかに場所をあけ、周りを囲んで見物したり移動を妨げてはならない。
・香燈腳は纘轎脚をしてはならない。また神輿に触ったりぶつかったりするなどの礼儀に欠く行為をしてはならない。
・もし一時的に隊列を離れる場合は、その旨を媽祖に報告し、戻った際も同様に報告を行う。
・毎朝出発前に神輿が駐駕した場所へ赴き、線香を手に頭旗と媽祖を参拝し、道中の平安を祈ること。これは「起馬」と呼ばれる。
・駐駕の場所が決まった後、頭旗と媽祖を参拝し、その庇護に感謝する。これは「下馬」と呼ばれる。
・白沙屯進香の伝統において、香燈腳は起馬や下馬の際には、少量の金紙を準備し神兵に供えなければならない。
・神輿の停駕とは、当地の信者らに参拝の機会を与えるものである。香燈腳は停駕地近くで休憩をとり、その際起馬、下馬の参拝をする必要はない。
・民間信仰においてはおしなべて、喪に服する期間は廟の祭儀や進香行事に参加するべきではないとされている。
・事前にポエ占いにより媽祖へ参加の可否を尋ねた信徒は、その結果に従うものとし、決して媽祖の意に反しないようにしてください。
詳説冊子「白沙屯媽祖徒歩進香!」
苗栗県政府文化観光局より白沙屯媽祖進香を解説した冊子が配布されています。進香において執り行われる儀式などについて、中日英の三か国語で解説されています。
すでに配布は終了していると思われますが、下記のリンクから無料でダウンロードできます。興味のある方は、参加の前にご一読されることをおススメします。ただし翻訳に間違いもみられるため、中国語が分かる方は中国語のパートを読んだ方がいいでしょう。
[冊子ダウンロード]
https://www.mlc.gov.tw/df_ufiles/130/%E7%99%BD%E6%B2%99%E5%B1%AF.pdf
ほかにも白沙屯拱天宮から毎年発刊されている進香関連の冊子を以下のリンクから読むことができます(中国語)。ただしスマホからではないと開けないかもしれません。
ここではダウンロードできない方の為に画像データを掲載いたします。ただ転載許可を取ろうと連絡先のメールアドレスを探しましたが、どうしても見つからず確認がとれていません。そのため後日消去するかもしれません。
白沙屯媽祖進香特別番組
中国語が分かる方は、ぜひこちらの動画もご覧ください。白沙屯媽祖網路電視台による白沙屯媽祖進香特別番組において、初めて参加される方に向けて分かりやすく、さまざまな疑問点について回答しています。
Youtubeチャンネルの白沙屯媽祖網路電視台では、白沙屯媽祖進香に関する幅広い情報を発信しています。興味がある方はぜひチェックしてみてください。
ここでは上記動画のポイントを簡単に紹介します。
・白沙屯媽祖進香や白沙屯媽祖往北港徒步進香と呼ぶのはかまわないが、決して遶境と呼んではいけない。
・白沙屯媽祖進香に関するFBやLINEなどのグループが多く存在しているが、中には間違った情報が流されたり、邪な目的の人間も存在しているので注意が必要。
・一年以内に家族を亡くした人は参加できない。すでに嫁いだ女性は、実家で不幸があったとしても、その限りではない。
・最も正統な参加の方法は、拱天宮から進香旗を受け取りそれを手に参加すること。その際は、事前に犒軍の儀式が必要。
・進香旗を持ったら一生参加しなければいけない。どうしても参加できない際は、媽祖にお伺いをたてなければならない。
・参加の際に進香旗がなくともよい。参加者の2/3は進香旗を持っていない。
・1日2日の参加で申し込みが必要かどうか迷う人も多いが、申し込みをしなくてもかまわない。
・申し込みをしない場合は、媽祖に参加の報告をすればよい。
・以前の進香で使用した服や帽子を着用してもよい。
・申し込みは、自ら行わなくてもよい。もともとその必要があったが、現在は知り合いに頼んでもかまわない。身分証も不要。
・歩き始めと歩き終わりに媽祖に報告が必要。その際は、最初に名前を告げ、参加する旨を報告する。また道中の庇護をお祈りする。駐駕した後も媽祖に歩き終える報告をする。
・放頭旗から出発までは素食(精進料理)にする。進香中は何を食べてもよい。
・通常プランの700元の申込費には、食事や宿泊は含まれていない。
・観光バスプランは、9日の日程だが8日間の費用である。なぜなら8日目の慈后宮までで終了となり、最終日はない。宿泊の費用は別途必要。廟の香客大楼だと300元ほど、旅館だとさらに必要。
・マメを防ぐためには、まず事前のトレーニングや準備が重要。マメは接触によりできる。靴の通気性を重視し、熱を感じたら休みをとること。足にワセリンを塗り、休憩時間は靴や靴下を脱ぎ通気を図る。そしてその時再度ワセリンを塗る。
・サンダルを選択してもいいが、事前にしっかり履きならすこと。
・痛み対策として、サロンパスを2、3時間で交換するようにする。
・熱中症対策として、水分はこまめに摂取する。
・持ち物として、着替えの服は2、3着あれば十分。服やズボンはゆったりめのものを選ぶ。
・日焼け防止や雨対策も重要。
ほかにも、香燈腳に向けたPodcastまであります。(中国語と台湾華語での配信)
さらに深く突きつめてみたい方は、進香関連の本がいろいろ出版されていますので、購入し研究してみてください。
[Top page]