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徒 歩 進 香[巡 礼]

ハマるぞ台湾!道教文化

[巡礼準備]徒歩進香 事前トレーニング

 

 

徒歩進香では、数日~十数日をかけて数十から数百キロを歩きます。歩き続けるためには、当然事前のトレーニングが不可欠です。私もネットでいろいろ調べ、主に100kmウォークのものを参考にしました。

 

ただ徒歩進香と100kmウォークではその性質も異なるため、一概に同じトレーニング方法が有効であるとは言えません。そこで今回は、大甲媽祖、白沙屯媽祖徒歩進香に向けての事前トレーニングについて、考えていきたいと思います。

 

 

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このブログでは、 毎年台湾で数十万人が参加し、最大の盛り上がりを見せる道教巡礼イベント「徒歩進香」を紹介しています。信徒でなくても、旅行者でも、気楽に参加できます。ウォーキングや賑やかなイベントが好きな方は、ぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか。

 

※ 徒歩進香についてはこちらへ ※

 

※ 大甲媽祖についてはこちらへ ※

 

※ 白沙屯媽祖についてはこちらへ ※

 

 

[目次]

 

 

徒歩進香と100kmウォークについて

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100kmウォークとは、24時間以内に100kmを完歩するイベントであり、4~5km/hでコンスタントに歩き続けなければなりません。

 

徒歩進香の場合は、歩行距離が1日30~60kmとなり、例えば往路3日間の参加とすると、合計歩行距離は140~170km程度が目安となります。そのため、歩くスピードも100kmウォークよりはゆっくりとなり、休憩時間や仮眠時間も確保できます。

 

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ほかにも100kmウォークとは違う特徴が徒歩進香にはあり、歩く楽しさを何倍何十倍にもしてくれます。

 

1.お祭りの賑わい

 花火や爆竹、陣頭といったにぎやかな雰囲気の中を歩きます。

 

2.細かくあるチェックポイント(廟)

 途中多くの廟に立ち寄り、そこでお参り、休憩、補給などができます。

 

3.ルート上での応援

 ルート上でも多くの人たちが、飲食を準備して歩く私たちを応援してくれます。

 

また100kmウォークでは、ほかの参加者の方と話をする機会はあまりありませんが、徒歩進香ではともに歩く同じ志を持った仲間という想いが強く、初対面の人達とも一緒に話しながら歩きます。たとえ言葉が出来なくても、片言でも、英語でも、コミュニケーションは十分とれます。

 

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しかし徒歩進香には、100kmウォークと比べ困難な点もいくつか存在します。

 

1.重い荷物を背負って歩かないといけない

数日分の着替えや洗面用具、寝袋、モバイルバッテリー、足ケア用品などを背負って歩かなければなりません。その重さは5~8kg、テントがあるとさらに重くなります。

 

2.自分のペースで歩けない

神輿の後ろに続き、さらに進香団の人ごみの中を歩くことは、自分のペースを維持できず想像以上に疲れます。また自分のタイミングではない休憩が繰り返されると、逆に疲労を感じることさえあります。

 

3.野宿が必要になる

夜休憩がとれるとは言っても、野宿では熟睡が難しく、シャワーすら浴びられないこともあり、なかなか疲れが取れません。

 

それでは、 大甲媽祖、白沙屯媽祖のそれぞれのケースについて見て行きましょう。

 

 

大甲媽祖のケース

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大甲媽祖遶境進香の往路を例にとり、実際の状況を考えてみたいと思います。 

 

初日:彰化南瑤宮まで約55km

2日目:西螺福興宮まで約45km

3日目:新港奉天宮まで約50km

 

実際に歩く距離はこれよりやや長くなるので、3日で160km程度になると想定されます。つまり1日平均50km以上を3日間歩き続けるということです。連日深夜出発となり、各日20~30程度の廟に立ち寄ります。

 

初日を例にとると、

神輿より先行し55kmを時速5kmで歩くと計11時間、30の廟でお参りと休憩で各10分の計5時間、長めの休憩を4回各30分とると計2時間、合計18時間になります。深夜23時に出発したと仮定すると、単純計算で彰化南瑤宮への予定到着時刻は夕方5時です。

二日目の深夜出発まで8時間あります。この時間を利用して休憩場所を探し仮眠をとります。もしくはさらに15km先の町員林まで足を延ばし、そこで寝場所を探すという選択の方が確実かもしれません。

二日目、三日目も、この流れを繰り返します。

 

さらに背負って歩く荷物は、5、6kg程度。水や食料が増えると8kg近くになります。これを背負いながら毎日50km以上を歩き、しかも野宿することは決して容易ではありません。

 

 

白沙屯媽祖のケース 

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次に白沙屯媽祖進香のケースを見てみましょう。急行軍の年の往路を例に考えてみます。

 

深夜1時に白沙屯を出発、翌日昼に北港到着と考えると、35時間で約150kmを歩きます。24時間で100kmウォークを歩いた後、さらに11時間で50kmを歩くイメージです。神輿は時速6.5km以上のペースで進みますので、まずはそれについていくか否かという判断になります。

 

私は高速道路を進む神輿に必死について行こうとして、マメをいくつも作り途中リタイアしました。慣れていない速いペースは、足の様々なところに負担がかかります。普段からこのペースで練習をできている人はいいのですが、そうでなければ、無理してついていくことは決して得策ではありません。

 

休みなく歩いたとして時速4.3km、途中のトイレ、食事休憩を考えると、合計2時間として残り33時間、時速4.5kmで歩き続ける必要があります。信号待ちなどもあるので、時速5kmのペースを維持しながら、仮眠や長めの休憩をとることなく歩き続ける方法がベストかもしれません。

 

神輿からは大きく遅れることになりますが、急行軍の往路完歩を目指すためには仕方ありません。ルートが決まっていない白沙屯媽祖進香では、大甲媽祖とは違い先行ができず、早めに出発することもかないません。そして大甲媽祖同様、荷物を背負っての歩きとなるため、完歩となるとかなりの準備が必要になります。

  

 

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長距離の歩きを成功させるためには、身体の疲れや精神的な疲労をうまくコントロールすること、足への負担を軽減させること、足の痛みやマメなどを適切に処置することが求められます。

 

身体の疲れは定期的に休憩をはさみ、精神的な疲労は周りの人たちと雑談したりすることで解消できます。足への負担やマメなどについては、事前のトレーニングが重要になってきます。

  

 

事前トレーニングについて

遅くとも徒歩進香の1か月前には練習を始めます。参加が100km以上になる場合は、1ヵ月以上前から始めた方がいいでしょう。その際には実戦で使う靴や中敷き、靴下の調整を行います。

 

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靴や中敷き、靴下は消耗品です。しっくりくるものが見つかれば、同じものを複数準備しておきます。靴下と中敷きは、長距離を歩くと擦り切れたり穴が開いたりもします。そのまま歩き続けるとマメをつくる原因になります。靴も相性が合うものが見つかれば、再び同じ靴を購入した方が安全かもしれません。サイズが同じでも靴が変わると、中敷きや靴下との相性も変わってきます。

 

靴選びはかなり大切になりますが、特にサイズ選びは重要です。厚手の中敷きを使用する場合や靴下を重ね履きをする場合は、大きめのサイズを購入する必要が出てきます。その場合、例えば普段26㎝2Eを履いている人は、27㎝3Eといったように大き目のものを購入した方がいいでしょう。

 

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靴を購入後は、出来るだけ事前に何度も長距離を歩いてならす必要があります。以前、10km✖3、20km✖1程度の慣らしで参加した際は、事前練習では問題なかったものの、本番で3か所にマメができてしまいました。

 

中敷きも同様に慣らしをしなければなりません。新しい中敷きを購入し事前に2回程度の慣らしで本番に参加した時は、マメを複数作りました。

 

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私の場合直前の1か月は、平日10km以上、週末は20km以上を歩くようにしました。事前にトレーニングを兼ねてほかの徒歩進香に参加する場合は、平日の練習量を調整します。

 

また歩くだけでは、心肺の強化ははかれません。徒歩進香では歩きが基本ですが、時折走らなければならないケースもでてきます。その際心肺強化が出来ていないと、体力を大きく削られることになります。そこで、数百メートルをゆっくりジョギングしても息が上がらない程度には、トレーニングをしておくことが必要です。 平日の練習では、徒歩とジョギングを交互に繰り返すといいでしょう。足の筋力を強化するためには、つま先で歩いてもいいと思います。

 

本番前には、実際の参加時と同程度の重量のカバンを背負って、歩くトレーニングをしましょう。ペットボトルに水をいれてカバンに詰めれば、疲れた場合に重さを調整することもできます。

 

練習の際に気を付けることは、正しい足裏の体重移動と姿勢を身に着けることです。背筋を伸ばした歩きの姿勢、かかとから足裏の外側を通して、最後に親指の付け根へ抜ける体重移動を身体にしみこませます。そのため足以外にも、正しい姿勢を保つために腹筋や背筋のトレーニングをあわせて行いましょう。

 

 

練習場所問題について

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台湾在住の方は、練習場所探しに悩まれると思います。台湾の交通問題、大気汚染などにより、徒歩練習をする場所はかなり限られてきます。しかも歩道は、大きな街の中心部あたりにしかありません。

 

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早朝や夜は、近くの学校の運動場に行ったとしても、長距離の練習をするのは困難です。ここでは主にインターバルトレーニングを行います。

 

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長距離のトレーニングは、週末郊外に行き、田舎道や河川敷、自転車道などを利用する方法が有効だと思います。

 

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山登りもいいと思いますが、慣れないうちは膝などの関節を傷めないように注意してください。

 

郊外トレにおいて気を付けなくてはいけないことは、野良犬の存在です。私も一度自転車道で噛まれています。ほかにも野犬の群れに囲まれたこともあります。

 

台湾では郊外に行くと野良犬が多く、さらに飼い犬も放し飼いされています。多くは人間を恐れて逃げていくか、遠くから吠えるだけなのですが、中には向かってくる犬もいます。

そこで私は、「打狗棒」(登山用のストック)を手にトレーニングに出ています。吠えながら近づいてきても、ストックを振り回せば大抵は逃げていきます。もし棒などがない場合は、タオルやカバンを振り回し、食料を投げて隙をみて逃げましょう。特に比特犬や藏獒などの大型犬が人を襲う事件も数多く発生していますので、万一に備えてください。

 

さらに交通事故の問題もあります。通行量が多い場所を歩く際は、十分注意して、台湾では車が最優先であることを理解し、車やバイクには道を譲り安全を確保しましょう。また女性の方は、単独での郊外トレーニングは避け、複数人で行うようにしてください。

 

 

足のケアについて

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練習前後や本番のスタート前、休憩時、歩き終えた後などにはしっかりと準備運動や柔軟体操をしてください。これが非常に重要になってきます。

 

また歩き続けるには適切なケアが必要です。まず歩く前の事前準備として、足の裏や指にはエッセンシャルオイル入りのワセリンを塗りたくります。ほかに擦れそうな場所、内また、臀部、腰回りなどに普通のワセリンをしっかり塗ります。これは休憩時に定期的に塗り直しましょう。乳首が擦れる人は絆創膏を貼っておいた方がいいでしょう。

 

履きならした靴や中敷き、靴下にプラスしてワセリンを使用すれば、マメのリスクをかなり減らすことができます。靴下の2枚重ねは摩擦を軽減させる上で有効です。靴下は裏返しにしてはいた方がマメができにくくなります。さらに休憩時は短時間でも靴を脱いで、出来れば靴下も脱いで、蒸れた足を通気させます。そのため、小さな靴べらをすぐに取り出せる場所に入れておくと非常に役立ちます。

 

本番では長距離を歩いているうちに、当然足の痛みは出てきます。関節やふくらはぎ、そして足の裏…... 私は毎回のように足の裏の痛み(足底筋膜炎)に悩まされました。長距離の歩きに足が慣れてくると多少楽になりますが、それでも痛みは出てきます。

 

休憩時には、冷却スプレーや筋肉痛の塗り薬、湿布などで足の痛みが酷くならないようにケアをします。そして痛み止めも有効です。私は必要に応じて、ロキソニンを服用しながら歩きました。台湾では、筋肉弛緩剤を薬局で購入して飲んで歩く人も多いようです。

 

大甲媽祖や白沙屯媽祖では、ボランティアの医療グループの方たちが大勢参加していますので、マメの処理や痛みのケアをお願いしてもいいでしょう。

マメはつぶす派とつぶさない派に分かれますが、私はマメができた場合には、安全ピンをアルコールで消毒し、小さな穴をあけて水を抜き、マメをアルコールで消毒した後、化膿止めを塗り、ガーゼとテーピングで固定します。ただアルコール消毒はかなり痛いです。

 

 

徒歩 v.s. マラソン v.s. 自転車

台湾では多くの自転車イベント、マラソンイベントが開かれています。それでは、歩き、走り、自転車のどれが一番キツイのかについて考えてみました。

 

ロードバイクが盛んな台湾で、有名な自転車のイベントとしては「雙塔」があります。これは台湾の北から南まで520kmを24時間で縦断するというものです。 

私も以前は自転車のアマチュアレースに参加しており、週末の練習などでは1日で200km以上を乗ったりしていました。そのため寝ずに500km以上を走破するこのイベントは、かなり過酷だということが分かります。でも自転車乗りの方にとっては、聞いただけで血が騒ぐイベントですね。

 

ラソン大会で人気なイベントと言えば、台北、田中、高雄、太魯閣などのマラソン大会があります。 参加人数が最も多いと思われる田中の大会では、42.195kmの制限時間は6時間10分です。私はハーフマラソンしか経験がありません。

 

歩きで言えば大会ではありませんが、環島(台湾一周)が人気です。全長1,000kmを1~2か月かけて歩いて回ります。私も環島をしている方を何人も見かけたことがあり、後で声をかければよかったかなと後悔したりもしました。環島をしている日本人は、一時話題になった女性以外にも結構いらっしゃるようです。

 

ただ台湾での有名な徒歩大会は見当たりませんでしたので、ここでは日本で行われている100kmウォークと比較してみます。

 

- 24時間自転車で520kmの雙塔

- 6時間で42.195kmを走るフルマラソン

- 24時間徒歩で100kmの100kmウォーク

 

どれも参加したことはありませんが、想像で比較してみると、その厳しさは100kmウォーク>フルマラソン>雙塔の順になるように思います。

 

自転車は走り続けながらも、結構足を止め休む時間を作れます。しかし走りや歩きではそうもいきません。また私は以前とある試合前のトレーニングやハーフマラソンの練習として、7~8分/kmのLSDで20~30kmほどを走っていました。その経験から考えると、徒歩100km24時間が一番キツイように感じます。

 

そうなると、6、7kgの荷物を背負い35時間で150kmを歩く白沙屯媽祖進香の急行軍は、かなりの難関だと言わざるをえません。

 

 

最後に

実際の徒歩進香で20kmを歩くよりも、練習で20kmを歩く方が格段に大変です。それを乗り越えてこそ、本番での完歩が見えてきます。

大甲媽祖や白沙屯媽祖で全行程完歩を目指すには、1週間以上歩き続けなければなりません。そのため、さらに入念な事前準備や歩き続ける理由(モチベーション)が必要になるでしょう。

 

 

 

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