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徒 歩 進 香[巡 礼]

ハマるぞ台湾!道教文化

[道教巡礼]白沙屯媽祖進香 完全攻略

 

 

甲媽祖遶境進香と双璧をなす、人気の高い徒歩進香イベントです。環島ブームのきっかけとなった映画「練習曲」の中で、主人公がお爺さんと道教のイベントに参加し、神輿とともに歩くシーンがあります。それが白沙屯媽祖進香です。

 

白沙屯媽祖進香は、大甲媽祖遶境進香とはいくつか大きな相違点があります。そこがまた人気の秘密なのかもしれません。それでは詳しく見ていきましょう!  

 

 

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[2018年GPS追跡ルート]

 

 

  [白沙屯媽祖進香ポイント]

  1. 白沙屯拱天宮が主催する大甲媽祖に並ぶ台湾を代表する道教巡礼イベント
  2. 北港朝天宮までの往復約400kmの道のりを神輿とともに歩く
  3. 決められたルートがなく、媽祖の意志により神輿の進む方向が決まる
  4. 停駕、駐駕する場所も決まっていないため、難易度は高い
  5. 参加者には敬虔な信者が多いが、心さえあれば誰でも参加可能

  

 

 ※「進香」ってなに? という方は、こちらの記事へ ※

 

 ※ 実際に歩いた際のレポートはこちらへどうぞ ※ 

 

※ より深い知識を得たい方はこちらをご参考ください ※ 


 

[目次]

 

 

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概要

【白沙屯拱天宮天上聖母北港進香】

 

主催廟:白沙屯拱天宮[1863年建立]

出発地:白沙屯拱天宮(苗栗県通霄鎮)

目的地:北港朝天宮(雲林県北港鎮)

開催時期:毎年2~5月頃

開催期間:毎年異なる(おおよそ8日から12日間)

移動距離:毎年異なる(毎年ルートが異なる。約400km)

参加費:700元(申込なしでも参加可能ですが、申込することをお勧めします)

参加人数:20万人以上(申込者約8万人)

     見物客などを含めると100万人以上 

特徴:廟建立以前より170年以上の歴史を有し、大甲媽祖遶境進香と並ぶ台湾を代表する巡礼イベント。ルートが決まっておらず、神様の指示に従い進む。付き添い歩く参加者は、香燈腳(もしくは香丁腳)と呼ばれる。

住所:苗栗縣通霄鎮白東里2鄰8號 Google マップ

アクセス:白沙屯駅下車徒歩12分

 

公式Youtube CH:白沙屯拱天宮 - YouTube

参考HP:

2018白沙屯拱天宮天上聖母往北港徒步進香期程與費用公告專區

白沙屯媽祖徒歩進香(行事・信仰)-台湾宗教文化地図-臺灣宗教百景

 

 

雰囲気は?

まずはこちらの動画でその雰囲気を感じ取ってみてください。

 

白沙屯媽祖のテーマソングのMVですが、全体的な雰囲気が非常によく伝わってくると思います。

 

映画「練習曲」の予告編です。少しだけ白沙屯媽祖進香のシーンも出てきます。

 

 

白沙屯拱天宮について 

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その昔白沙屯は、新竹から大甲に抜ける要所にある漁師町でした。そのため海の女神である媽祖への信仰は、住民たちにとって重要な意味がありました。もともとは清朝乾隆帝時代より、地域住民たちが持ち回りで媽祖像を各家の神棚に祀っていましたが、19世紀半ば頃、村人たちはお金を出し合い廟を建設しました。これが拱天宮の始まりです。

 

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拱天宮に祀られている三体の媽祖像のうち、進香で神輿に乗り出陣するのは大媽です。大甲鎮瀾宮など他の廟では、通常大媽は廟を訪れる信者のためにお留守番をするのですが、白沙屯媽祖進香では大媽自ら北港まで出向きます。 

進香から戻った翌日、廟周辺の村々を巡る遊庄に出るのは二媽で、三媽は贊境などを担当することが多いようです。

 

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拱天宮に祀られている媽祖は北港朝天宮から分霊されたものではなく、清朝時代に中国からもたらされたものと言われています。しかし残念なことに、中国のどこから分霊されたのかについて確認できる史料は残されていません。実際台湾の廟の歴史は、多くの場合において史料が残されておらず、口伝が多くなっています。

 

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白沙屯媽祖進香の歴史は、廟が建設されるよりも前にさかのぼります。進香が始まった当時、いまから150年以上前、一部の媽祖廟は中国の湄洲島まで進香に向かっていました。しかし白沙屯は貧しい田舎町であり、中国まで進香に行く余裕などありませんでした。そこで信者たちは、当時唯一聖父母殿を有していた北港朝天宮へ進香に向かうことを決めました。それが現在まで続いているのです。

 

昔からいまのような規模だった訳ではありません。80年代当時の参加者は800人程度しかいませんでした。それが90年代に入り外部の参加者へ開放されると、その規模はどんどんと大きくなり現在に至ります。記録によると、95年の徒歩進香において全行程徒歩を達成した信者は67人と言われており、まだまだかなり小規模であったことがうかがえます。

 

 

進香の流れ

2018年の日程表です。日程は毎年異なり、旧暦12月15日に儀式が開かれ、占いにより媽祖の意志を確認することで決定されます。

 

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白沙屯媽祖進香では大甲媽祖遶境進香とは異なり、

・出発    5月16日 23時40分

北港到着  5月18日

・白沙屯戻り 5月24日 14時20分

としかありません。

 

途中どこに停駕する(立ち寄る)のか、その日どこで駐駕する(一日の行程を終える)のか、まったく分かりません。

白沙屯媽祖進香の一番の特徴は、このルートが全く決まっていないという点にあります。神輿が分岐点に到着すると、神様(媽祖)の意志によって進む方向が決まるのです。

 

そんなこと言って、神輿の担ぎ手が決めてるんでしょ?

 

私も初めはそう思っていました。このように感じた方は、ぜひ実際に歩いてみてください。その考えが180度変わるかもしれません。そしてルートが決まっていないことにより、多くの困難が待ち受けることになります。

 

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白沙屯媽祖進香の日程では、出発、到着、戻り以外には、

・出発の3日前に放頭旗(頭旗を立て進香の始まりを告げる儀式)

・ゴールから12日目に開爐(持ち帰った灰を廟の炉に移す儀式)

などが決められています。

 

また時間は決められていませんが、北港朝天宮にはお昼頃、通霄慈后宮には14時半頃に到着する傾向にあります。

 

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2018年、実際のルートは以下のようになりました。

 

[往路]

初日 : 深夜 白沙屯拱天宮を出発

     昼 伸港福安宮にて停駕

     夜 王功福海宮にて停駕

       ※急行軍のため駐駕なし

二日目: 昼 北港朝天宮到着、駐駕

 

[復路]

三日目: 早朝 儀式後に北港朝天宮出発

     夜 虎尾の学校にて駐駕

四日目: 早朝 虎尾出発

     夜 北斗奠安宮にて駐駕

五日目: 早朝 北斗出発

     夜 彰化市の企業にて駐駕

六日目: 早朝 彰化市出発

     夜 台中市大甲区の店舗にて駐駕

七日目: 早朝 大甲区出発

     午後 通霄慈后宮にて駐駕

八日目: 朝 通霄慈后宮出発

     午後  白沙屯拱天宮到着

途中、神輿はところどころで停駕しています。 

 

下記のWebサイトでは、ルートが細かく記録されています。   

白沙屯拱天宮-戊戌年(2018)白沙屯拱天宮天上聖母往北港徒步進香紀錄

 

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ルートが決まっていない白沙屯媽祖ですが、神輿が必ず立ち寄る場所がいくつか存在します。それは次の6カ所です。

・白沙屯拱天宮(出発/ゴール地点)

・北辰派出所(目的地到着前の集合場所)

北港朝天宮(目的地)

・通霄慈后宮(ゴール前夜の駐駕地)

・秋茂園(神輿の乗換儀式が行われる場所)

・白沙屯駅(ゴール前の停駕地。信者らの参拝、媽祖の観劇が行われる)

 

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停駕や駐駕する場所は、廟だったり、企業だったり、商店だったり、学校だったり、民家だったりと様々です。まれに路上に停駕することさえあります。ただ神輿が廟などに立ち寄ったとしても停駕をするとは限らず、挨拶だけしてすぐに立ち去る(行轎參訪)ことも多々あります。

 

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ほかにも道路脇に設置された仮設の神壇に立ち寄ったり、路上に跪き庇護を求め待つ信者の前で立ち止まったりもします。さらには小さい子どもたちが路肩で「媽祖,我愛你!」と叫んでいると、吸い寄せられるように方向を変えることもあります。

 

地元の廟の関係者や信者らが道路脇で香案などにより媽祖の到着を迎えます。これは「接駕」や「迎轎」などと呼ばれます。しかし企業の関係者、地区の代表者などが道の真ん中で跪き、庇護を求めまた自分たちの場所に来ることを望み、神輿の行く手を遮ることがあります。これは「擋路」や「攔轎」と呼ばれ、あまりいい行為とは思えません。

 

また突然の来訪者であるため、ごくごくまれに停駕や駐駕を断わられることもあります。大多数の台湾人にとって、白沙屯媽祖の神輿が自分の住居や店舗に来ることは、大樂透(宝くじ)に当たるぐらい幸運なことですが、中には家主がいなかったり、信仰の違いなどのケースがあるのかもしれません。そのような場合でも、神輿は礼儀正しくかつスマートに立ち去ります。

 

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神輿が停駕や駐駕する際には、神様の挨拶である「三進三退」を行い、神輿が前後に三往復します。ちなみに大甲媽祖の場合は独特で、左右にステップを踏む「踩大小禮」を行います。また進む方向を決めたり停駕地を選ぶ時などに、神輿が上下左右に大きく動く動作は、「行轎」や「采轎」と呼ばれます。

 

 

目的地について

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こちらが雲林県南部に位置する進香の目的地となる北港朝天宮です。言わずと知れた台湾を代表する非常に有名な廟ですね。歴史も古く、台湾媽祖廟の総本山とも呼ばれています。

神輿が到着するとあたりはものすごい熱気に包まれます。

 

北港朝天宮については、北港媽祖遶境の記事で詳しく紹介しています。

[爆竹祭り]北港媽祖遶境 参加ガイド - 徒 歩 進 香[巡 礼]

 

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朝天宮に到着する前、香燈腳はまず2kmほど手前にある北辰派出所に集合します。そこも当然すごい人出です。

 

「進喔!進喔!進喔!」と多くの香燈腳たちと一緒に叫びながら、朝天宮に駆け込む神輿を見送るこの時が、進香イベントにおいて一番興奮する瞬間なのかもしれません。

 

朝天宮に入廟後、午後に「拜天公」の儀式が、翌朝には「刈火」の儀式が行われます。その際香燈腳は事前にシャワーを浴び身体を清め、清潔な服に着替えて参加しなければなりません。

 

北港朝天宮で行われる「刈火」儀式について興味がある方は、この動画(中国語)が参考になります。特に香擔や香火について詳しく解説がなされています。

 

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初参加の年、私は急行軍についていくことが出来ず、写真の鹿港天后宮で脱落となりました。ここも歴史があり、人気廟ランキングでは常に上位に入る媽祖廟の一つです。

 

 

参加申込について

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大甲媽祖遶境進香には申込がなく、皆自由に参加していました。しかし白沙屯媽祖進香はやや厳格であり、事前に申込をしていない人、腕章を身に着けていない人は、香燈腳ではないと言い切る人たちもいます。

 

廟からの案内にも、「申込の人数に合わせて信者やボランティアが、進香途上での飲食を準備している」とあります。心さえあれば申込なしでの参加も可能ですが、やはり申込をして腕章を身に着けて参加した方が、気持ちよく歩けるでしょう。

ただ数時間や1日のみといった参加の場合は、それほど気にしなくても大丈夫です。腕章なしで歩いている人も沢山いますので。

 

また多くの信者は、事前に擲筊(ポエ占い)を行い、媽祖に参加の可否についてお伺いを立てています。この結果により参加を諦める人も大勢いるようです。

 

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700元の参加費で、帽子、腕章、タオル、ベストがもらえます。また下の方で説明する観光バス付きプランは2,100元です。(1元≒3.7円 2020年1月現在)

 

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申込場所は拱天宮内事務室、申込の開始は進香の一か月ほど前になります。詳細は公式HPやFBなどで確認できます。実際に申込みに並んだ時の様子は、下記リンクの記事内で詳しく紹介しています。

 

※ 申込から参加までの流れについてはこちらへ ※

 

申込をした参加者の名簿は神輿と共に進み、北港での刈火儀式の際に火の中に投じられます。たとえ途中で脱落したとしても、最後まで歩いたことと同じだけのご利益があると言われています。

 

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申込は出発前日の夕方まで廟内にて受付けています。ただ出発前日はものすごい人人人となり、廟の中に入ることさえ困難になるため、遅くとも2日前の早い段階で申込を済ませておいた方がいいでしょう。(最近では出発日数日前に申込受付が終了となることもあります)

 

また申込期間後半になると、間違いなくベストの数量不足が起こります。いずれにせよ早めに申し込んだ方が得策です。

 

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また大甲媽祖と同様に、廟内外のお店で紅綵や香火袋(御守)などの進香グッズを購入してもいいでしょう。進香旗もありますが、所持するには厳しい決まりがあり、生半可な覚悟では持つことは許されないようです。

購入した進香グッズは忘れずに、廟内の炉で「過爐」(旗などを手に持ち、炉の煙の上で時計回りに三回回す)してください。 

  

 

歩きのポイント

大甲媽祖ではある程度先行して歩き、神輿の到着を待つことができました。しかし白沙屯媽祖ではそれができません。先行すると、神輿が全く違う場所に行っていたなんてことになりかねません。この自分のペースで歩くことができないという状況は、長距離を歩く上でかなり難易度が上がります。

 

ルートは決まっていないとは言っても、おおよそ次の主要な3ルートのいずれかを通ることが多くなります。

①台中を過ぎた後、員林や西螺といったメインルートを通る台1号線

②溪湖や褒忠を通り、田舎の風景が楽しめる台19号線

③伸港や鹿港を通り、海沿いのルートを突き進む台17号線

これら各ルートを基本としながら、そこを逸れて住宅街や農道などの細い道を進むことになります。

 

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毎年進香の日数は異なり、それにより進香団の進むスピードも変わってきます。例えば、2017年は12日間、2018年は8日間でした。これも事前に神様にお伺いをたてることによって決められています。

 

2018年はその時間の短さから「急行軍」と呼ばれ、進香団は北港までの道のり150㎞以上をほぼ休むことなく歩き続けました。これが非常にきつく、私のような脱落者が続出しました。

 

白沙屯急行軍対策として、私は事前に時速6kmの速足で歩き続ける練習を行いました。しかしそれでも神輿のスピードにはついていけず、香燈脚たちにバシバシと追い抜かれ、背後から進香団のトラックに追い立てられました。おそらく神輿は時速7km超の速度で進んでおり、香燈脚たちは途中小走りをしながら必死に神輿についていきます。

 

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さらに夜間を通して高速道路上を歩いたため、途中にトイレや休憩ポイント、補給ポイントがなく、それはそれは苦戦を強いられました。 

 

およそ数年に一度行われる急行軍は特別としても、一体どうすれば、白沙屯媽祖進香を少しでも楽に歩けるのでしょうか?

 

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ルートが決まっていないことで、自然と神輿の後ろを歩くことになりますが、神輿の後ろは当然大混雑です。これが大甲媽祖遶境進香との違いの一つになります。

大甲媽祖ではルートが決まっているため、神輿や頭旗よりも先行して歩く人が多く、神輿の後ろは白沙屯媽祖進香の方が混雑します。そこで可能であれば、頭旗と神輿の間を歩く方法がいいかもしれません。

 

白沙屯媽祖の頭旗は大甲媽祖ほど先行はせず、おおよそ数百メートルから1kmぐらいかと思います。ただこれにも欠点があり、頭旗が必ずしも神輿と同じ道を選ぶとは限らず、神輿が方向転換した際は走って追いかけなくてはなりません。

 

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私のケースで言うと、急行軍の年は結局「粉紅超跑(ピンク色のスーパーカー)」の異名を持つ神輿のかなり後方を歩いていました。

 

急行軍でなければ、頭旗の後ろか頭旗よりも少し先行して歩くことが比較的多くなります。しばらく神輿のそばを歩いた後は、ほかの香燈腳に場所を譲り、神輿より先行して歩きます。そして頭旗や神輿が休憩に入った際は、混雑を避けるために一緒に休憩はとらず、ペースを落としながら先行し距離を稼ぎます。

 

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後はアプリで神輿の位置を確認しつつ、神輿がこの先どの方向に進んで行くのか推理を楽しみながら、先を目指します。時に自分の推理力に喜び、時に方向転換を強いられます。 

周りを歩く香燈腳の姿はまばらとなりますが、体力に余裕があればこの先行推理方式もなかなか楽しいですよ。基本先行しながら、時折神輿の後ろを歩くという方法です。ただ一部の参加者は、神様が決める行き先を勝手に予測することを嫌がりますのでご注意ください。

  

白沙屯媽祖進香神輿追跡サイトです。GPS追跡班が頑張って歩いています。

 

また毎日必ず媽祖に向かって、歩き始めの起馬(出発)と歩き終わりの落馬(終了)の挨拶を行ってください。

 

 

移動代替手段

歩きだけではなく、自転車やバイクで参加する人たちもいます。また歩きの人も、全て歩かなければいけないということではありません。

 

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参加プランの中に、観光バス付きというものがあります。それは歩きたいところだけを歩き、休みたい時はバスの中で休むという画期的な方法を採用しています。

 

ただ問題もあり、何十台ものバスが同時に移動しているため、自分のバスの所在地を確認するには、ドライバーと電話やLINEで密に連絡を取り合わなければならず、言葉がかなりできる人ではないと難しいでしょう。

さらにルート上はすごい人ごみであり、バスは大きく迂回することも多く、隊列の近くにいるとは限りません。また観光バスによる送迎は、進香最終日前日の午後、通霄辺りまでとなります。

 

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しかしまだもう一つ方法があります。それがこちらです。

私は「ドナドナ」と呼んでいるのですが、歩き疲れた人を乗せてくれるボランティアのトラック(服務車・香客車)です。このようなトラックや軽トラが何台も通り過ぎ、私たちを誘惑してくるのです。このドナドナは大甲媽祖などほかの進香イベントでも走っています。

 

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※「疲れたら載せていくよ」
またバイクや車の参加者から、乗っていかないかと誘われることもあります。特に完歩にこだわりがない人は、ありがたく乗せてもらえば、歩きと車でうまく疲れをコントロールできますね。

 

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ドナドナに乗らないまでも、荷物を預かってくれる車があります。貴重品や歩きの時に必要なもの以外は、全部預けてしまうのも一つの方法です。ただ人を載せて走るドナドナはたくさんあれど、荷物を預かってくれる車は盗難等の問題があるせいか、あまり多くないかもしれません。

 

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いろいろな車が進香に参加していますが、荷物預かりOKの車を探すとなると容易ではないと思います。可能性が高いのは、「服務車」や「香客車」と書かれているトラックの中でも、リュックやスーツケースなどを大量に載せている車です。

 

ドライバーの方に荷物を預けることが可能か確認し、OKであれば連絡先を交換して、荷物の受け取りがすんなりとできるように心がけましょう。荷物を預けた車が見当たらないという話もよく耳にしますので。またその日の駐駕地が決まった際は、速やかに荷物を受け取りに行ってください。

 

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ちなみに私の場合は、駐駕の際に神輿の近くにいるとは限らず、それによる時間のロスを避けるため、大規模イベントでは預けたことはありません。小中規模イベントでは預けることもありますが、実際荷物がないと足への負担が全く違います。疲れも30%OFFです。

 

預ける予定がある場合は、写真のような小さめの肩掛けバッグやナップザックを事前に準備しましょう。中に入れるものは、水、非常食、ポケットティッシュ、ウェットティッシュ、脚のケア用品、モバイルバッテリーなどです。

 

 

食事について

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食事については、大甲媽祖遶境進香とほぼ同じで心配は無用です。詳しくは下記リンクの大甲媽祖の記事を参照ください。ただルートが決まっていないため、信者やボランティアたちは車で移動しながら、神輿の進む方向を予測し先回りと頑張っています。

[道教巡礼] 大甲媽祖遶境進香 参加ガイド - 徒 歩 進 香[巡 礼]

 

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急行軍の年、昼休憩ポイントとなった伸港福安宮です。神輿もこの場所で数少ない休憩を取りました。ここでもボランティアや信者による無料の食事が提供されています。来るかどうかも分からない神輿を待ち、こうして準備をしていただけていることに、本当に頭が下がります。 

この時は、食後足のマメの応急処置をしている間に、いつもまにか神輿の姿は見えなくなっていました。

 

食事のタブーについては、大甲媽祖とは多少異なり、出発前の3日間は素食(ベジタリアンの食事)にするよう決められています。道中は何を食べてもOKです。

 

 

宿泊について

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観光バスプランを申し込めば、日中はクーラーのきいたバスの中で休憩をとることができ、夜間はバスのドライバーが宿泊場所の手配をしてくれます。

ただホテルのグレードは指定できずドライバー任せとなります。ほとんどが香客大楼での雑魚寝になり、1泊300元程度徴収されるようです。香客大楼が見つからない場合は、旅館などに詰め込められます。

 

駐駕が決まった後、参加者はバスに集合し、そこから少し離れた宿泊場所へ移動します。宿泊先ではさらにシャワーの列に並ばなくてはならないため、就寝時間はかなり遅くなります。しかし寝場所が確保されている安心感、荷物を預けられるというメリットはかなり大きいと言っていいでしょう。

 

観光バスプランを申し込まない参加者の中には、駐駕地から近場のホテルへタクシーで往復するという人もいます。当然ながら、当日空いているホテルを見つけることは容易ではないはずです。 

北港での宿泊については、参加申込時に合わせて予約を行うことができます。ただそれも、申込初日の早い段階で埋まってしまいます。

 

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そうなると残るはやはり野宿ですね。白沙屯媽祖の場合は、その日の駐駕地が前もって決まっておらず、またそこが廟であるとも限りません。企業だったり、民家だったりと様々ですので、野宿ポイント探しは決して容易ではないということをあらかじめ覚悟しておいてください。

 

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ただよほど辺鄙な場所ではない限り、駐駕地近隣の施設や企業が休憩場所として開放されることもままあるため、積極的に周りの参加者や地元の方に尋ねてみましょう。

寝袋などの持ち物については、次の記事を確認ください。

[巡礼準備]徒歩進香の持ち物リスト - 徒 歩 進 香[巡 礼]

 

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シャワーについては、このような事情からあきらめた方がいいかもしれません。男性は廟のトイレ前や民家前にある水道をお借りして身体を拭いたり、髪を洗ったりできます。しかし女性にはそれも難しいですよね。

ただ香燈腳が一日二日シャワーを浴びていなくても、正直誰も気にしません。少しぐらい薄汚れていた方が、逆に長い距離を歩いてきた感が出ていいかもしれませんよ。

 

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歩きのベテランの方は、着替えは二日に一回とアドバイスしています。さすがにそれはきついので私は毎日着替えていますが、全行程徒歩となると、着替えを途中のコンビニで受け取り、洗濯物をそこから送り返す計画が必要です。毎日着る上着やズボンは、洗わないと日を追うごとに臭ってきますが、夜洗っても朝までに乾くかどうかという問題もあります。

 

またシャワーなしではどうしてもキツイという人は、身体を拭くシートや水のいらないシャンプーなどのケア用品を持参してみてはいかがでしょうか。

運が良ければ、シャワーがある寝場所が見つかるかもしれません。民家のシャワーを借りている参加者も多いと聞きます。

 

 

その他特徴

〇進香団隊列

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もう一つ、大甲媽祖との大きな特徴の違いは、隊列のシンプルさにあります。陣頭がほとんどなく、頭旗や神輿などごく少数のグループで構成されています。これにより逆に心地よささえ感じます。進香団の隊列や神輿に関して言えば、私は白沙屯媽祖が一番好きかもしれません。

 

また多くの参加者が同じ帽子をかぶり、同じベストを着用して歩きます。大抵の徒歩進香はこのような形式をとっていますが、大甲媽祖の場合は毎年何種類かの帽子やシャツが発売されるものの、ほとんどの参加者の服装や帽子はばらばらであり進香団全体の統一感はあまりありません。この点からも、白沙屯媽祖の方が歩いている際に隊列との一体感をより感じることができるでしょう。

 

[白沙屯媽祖進香団 隊列] 

 頭旗 - 香擔 - 大轎 - 香燈腳

 

◎頭旗 進香団の先頭を歩き、道を切り開き、信者たちを導く。

◎香擔 北港朝天宮の香火を担いで持ち帰る。復路で見ることが出来る。

◎大轎 媽祖の乗る神輿。通常4人で担ぐタイプの神輿であるが、最終日の秋茂園で8人で担ぐ大きな神輿に乗り換えが行われる。

◎香燈腳 神輿に付き添い歩く信者たち。

 

他にも報馬仔が換轎から拱天宮の間で姿を見せ、また少数ですが北港や白沙屯では陣頭を見ることもできます。

 

 

〇山邊媽

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拱天宮の媽祖以外にも、100年以上の長きに渡り友好関係にある隣村の「山邊媽」も一緒に神輿に鎮座し歩いています。

山邊媽祖宮は、拱天宮から北に線路沿いを2kmほど歩いた場所に位置しています。余裕があれば、拱天宮への参拝に合わせて訪れてもいいでしょう。その際は駅か拱天宮で無料の自転車を借りると便利です。

 

 

〇進香参加者

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参加者についても、大甲媽祖遶境進香とは違いがみられます。大甲媽祖では台湾全土のみならず、世界各国いろいろな地域から参加者が集結します。 

それに対し、白沙屯媽祖進香では地元色が強い傾向にあり、台湾国内、中でも台湾中部地区を中心とした参加者が多くを占めるのではないでしょうか。拱天宮は地域に根差した信仰の中心なのです。

 

熱心な参加者の多くは、大甲媽祖より白沙屯媽祖を選ぶ傾向にあります。その理由の一つは大甲媽祖の「商業化」にあり、伝統的な方式からややかけ離れてしまっていることへの不満からくるようです。 

逆に言えば、徒歩イベント化しつつある大甲媽祖遶境進香は、信者ではなくとも参加しやすい雰囲気を持っています。もちろん白沙屯媽祖進香も、心さえあれば参加になんら問題はありません。

 

 

〇潦溪

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2001年は多くの信者を引き連れ大河を歩いて渡り、それが伝説のようにいまでも語り継がれています。それ以前には1978年に潦溪が行われたと記録が残されています。河を渡る「潦溪」は、一般的には河の中に居つき悪さをする水鬼を救い出すために行われます。

[潦溪の風景] https://youtu.be/sQaO1dZkQPc

 

 

〇急行軍

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2008年には32時間で北港到着という過酷な「急行軍」が大雨の降る中遂行されました。急行軍は現在でも数年に一度行われています。急行軍の始まりである1996年から約25年の間で9回行われていますので、頻度は意外と高いように思います。

[急行軍開催年]

1996年復路31時間、2003年復路34時間、2008年往路32時間、2009年往路33時間、2011年往路34時間、2013年往路36時間、2015年往路35時間、2018年往路35時間、2021年復路40時間

 

白沙屯媽祖進香は、大甲媽祖のややおおらかな雰囲気と比べて、かなりストイックだとイメージしていただければいいでしょう。

 

 

〇進香儀式

白沙屯媽祖進香の全体的な流れや執り行われる各儀式については、こちらの動画が参考になります。(中国語)

 

儀式の中でも重要なものをいくつか紹介します。

- 擲茭擇日(日程決定の儀式 [旧暦12月15日])

- 放頭旗(頭旗を立てる儀式 [出発の3日前])

- 啓駕儀式(出発の儀式 [出発日])

- 集結進城(北辰派出所前に集合 [北港朝天宮到着前])

- 進火儀式(刈火の儀式 [北港朝天宮到着の翌早朝])

- 換轎儀式(神輿乗換の儀式 [拱天宮到着前])

- 回宮安座儀式(神像を廟に安置する儀式 [拱天宮到着時])

- 遊庄遶境(地域を巡行 [拱天宮到着翌日])※大媽ではなく二媽が巡行

- 開爐儀式(神像の前を覆った幕を開き、持ち帰った北港朝天宮の灰を移す儀式 [拱天宮到後12日目])

 

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秋茂園近くの空地で行われる換轎儀式では、白沙屯媽祖は四人で担ぐ神輿から、八人で担ぐ大きな神輿に乗り換えます。山邊媽も自身の廟の神輿に移ります。復路では霊力を封じ込めておくために媽祖像の前には幕がおろされていますが、この場で再びお目見えです。

 

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ここでは搶頭香の儀式が行われ、二つに分けられた白沙屯の集落が一年交代で、最初に媽祖に謁見しお参りを行います。その後は頭家が大きな神輿を担いで歩きます。報馬仔や涼傘などの陣頭もここから姿を現します。最終日は多くの友好廟が出迎えにやって来て非常ににぎやかとなり、媽祖は途中布袋戲や歌仔戲を観ながら拱天宮へと戻ります。

 

媽祖が拱天宮に戻り鎮座すると、拜天公の儀式が行われ、それと合わせて新たな一年の爐主を擲茭(占い)により選出する儀式も開かれます。茭杯を石の上に落とすという独特な方法を採用しています。

拱天宮の爐主や副爐主、頭家は、大甲媽祖の頭香、貳香、叁香らとは違い、必ずしも進香にかかる多くの費用を負担するというわけではなく、主に進香に必要な人手を手配します。また爐主は進香日程を選定する儀式を執り行い、副爐主は香擔グループを、頭家は最終日に大きな神輿を担ぐグループを組織するなどの役目を担います。

 

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拱天宮に戻った媽祖像の前は幕で覆われ、霊力が十分浸透するの待ってから、進香後12日目の開爐の日にようやく幕が開けられ、信者らの前に姿を現します。北港朝天宮での儀式後、復路で白沙屯媽祖像にお目見えできるのは、神輿の乗り換え儀式、拱天宮への入廟時の二回のみで、その次が開爐の日になります。

開爐儀式が終了すると、信者らは湯圓を食べ、進香旗を各自家に持ち帰ります。これで進香イベントがすべて終了となります。

 

 

〇遊庄遶境

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進香から戻った翌日には、二媽が白沙屯の集落を巡行します。ここでは報馬仔、頭旗、その他陣頭、さらに地域の廟から来た神輿や輦轎などが参加し、集落の細かく巡行して周ります。廟に戻った後には放兵の儀式が行われ、五營旗が立てられ、神兵たちが管轄地域を守るために配置されます。

  

 

〇擺香案

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地域住民たちは進香の日に合わせて家の前にお供え物をならべ、神輿がやってくると、金紙を焼きながら、線香を手に家族の健康や平安など媽祖の庇護を祈ります。 この行為は「擺香案」と呼ばれます。

しかし白沙屯媽祖ではルートが固定されていないため、大甲媽祖などに比べると見かける機会は少なくなるでしょう。

 

 

〇詳説冊子「白沙屯媽祖徒歩進香!」

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苗栗縣政府文化觀光局より白沙屯媽祖進香を解説した冊子が配布されています。進香で行われる儀式などについて、中日英の三か国語で解説されています。すでに配布は終了していると思われますが、下記のアドレスからダウンロードできます。興味のある方は、参加の前にご一読されることをおススメします。ただ翻訳にちょこちょこと間違いがみられるため、中国語がわかる方は中国語の文章を読んだほうがいいでしょう。

[冊子ダウンロード]

https://www.mlc.gov.tw/df_ufiles/130/%E7%99%BD%E6%B2%99%E5%B1%AF.pdf

 

ダウンロードできない方向けに、画像データを下記の記事内に掲載しています。

[道教巡礼]もっと深く白沙屯媽祖進香 - 徒 歩 進 香[巡 礼]

 

 

〇『世界ふしぎ発見!』にて特集

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2023年4月22日、TBSの長寿番組『世界ふしぎ発見!』にて白沙屯媽祖進香が特集されました。これを見て興味を持たれた方も多いのではないかと思います。

今後ますます多くの日本人が台湾へ渡り、徒歩進香の熱狂の渦の中にのみ込まれていくことを願ってやみません。

 

 

運が良ければ...

大甲媽祖遶境進香と同様に、「鑽轎腳」(神輿くぐり)や「壓轎金」(神輿に敷かれたお金)があります。詳しくは大甲媽祖遶境進香の記事をご確認ください。

 

〇鑽轎腳(倰轎腳)

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しかし、香燈腳は鑽轎腳をしてはいけないという不文律があります。なぜなら神輿と一緒に歩いている人はそれだけで十分ご利益があり、鑽轎腳の機会は一緒に歩くことができない地域の人たちに譲るべきだという考えがあるからです。

 

また往路が急行軍の場合は、ほぼほぼ鑽轎腳が行われません。その際は復路を狙った方がいいでしょう。(復路が急行軍の場合は往路がねらい目です)

 

〇壓轎金

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壓轎金を受け取れるかについては、やはり縁次第としか言いようがありません。大甲媽祖と違い、壓轎金は停駕先の廟ではなく拱天宮が管理しています。配られる先は地元の信者や子廟(分霊先)がメインとなり、必然的に香燈脚に配られる量はかなり少なく、稀少度はものすごく高くなります。神輿の近くを歩き続けたとしても、受け取ることができる可能性はとても低いと言わざるをえません。

 

どうしても必要な方は、進香終了後にFBをチェックしてください。一部子廟にて壓轎金の配布が行われることがあります。私もこの方法で入手しています。また開爐の日に、拱天宮や山邊媽にて壓轎金を受け取ったという話も聞いたことがあります。ただ開爐の日も、参拝に訪れる人たちで大混雑します。

 

以前進香関連の知り合いから連絡があり、とある方の家族が入院し白沙屯媽祖の壓轎金を必要としているから分けてあげて欲しいとのお願いでした。そこで白沙屯媽祖、大甲媽祖の壓轎金、北港媽祖の轎錢を入院先の病院までお届けしました。後日その方は無事に退院されたそうです。

 

〇その他

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その他には、路上にひざまずき、花を両手で掲げながら神輿の到着を待つ信者の姿を見かけることがあると思います。これは「換花」と呼ばれるもので、主に子宝を願う人が行います。停駕や駐駕の際にも、換花目的の信者が大勢訪れます。

 

結婚運を上げる「因緣線」は、報馬仔から受け取ることができます。ただし報馬仔は換轎の儀式以降しか姿を現さず、また多くの人が因緣線欲しさに列をなします。

 

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また大甲媽祖同様、香燈腳も神輿を担ぐことができます。大甲媽祖より交代頻度が低く、機会は少なくなるかもしれません。私もぜひ一度担いでみたいのですが、進香中は担ぎたい人たちが神輿の近くを歩きながら、ひたすら神輿を担がせてもらえるチャンスを待っています。そして神輿が立ち止まると奪い合いになるので、正直見ていてあまり気持ちのいいものではありません。どうしても担ぎたい方は、往路よりも復路の方がチャンスがあります。また敲鑼(銅鑼を叩く)も、香燈腳に代わっている姿を見かけたことがあります。

 

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さらに白沙屯媽祖進香では、いかなる交通手段も使わず往路か復路もしくは往復を完歩した香燈腳は、「錦旗」を受け取ることができます。進香イベント終了後、廟にて直接申請した上での受領となります。

 

 

要注意ポイント

1.体調管理

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長時間の歩きや野宿により疲労が蓄積しますので、こまめに水分補給と休憩をとり、体調管理には十分注意してください。炎天下の歩きでは、特に注意が必要です。休憩をとったことで多少神輿から遅れたとしても、急行軍でない限り必ず追いつきます。

 

2.ケガ

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神輿や頭旗の近くでは、すごい量の爆竹が、至る所でしかも至近距離でならされますので、ケガにも注意が必要です。異常を感じた際は、ためらわず周りの人たちに助けを求め、医療ボランティアチームの診察を受けてください。

香燈腳はみな助け合いの心を胸に歩いています。もし周りに助けが必要な方がいた場合も、すすんで手を差し伸べましょう。

 

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※ちょっとグロいので少しぼかしてみました。

私は厳しい急行軍により、両足親指の付け根のマメがつぶれ、それ以上歩くことが困難になってしまいました。勧められた5本指ソックスを履いたことが原因でした。何度か試し履きしてから臨んだのですが、どうも合わなかったようです。当初は復路も歩く予定でいたのですが、とても長距離を歩ける状態ではなかったため、彰化県での短い距離のみの参加となってしまいました。

 

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明け方に路肩に置かれたごみ箱を見つけごみを捨てた際、うっかり駐車してあったボランティア車のサイドミラーに顔をぶつけ負傷出血してしまいました。幸い近くにいた医療ボランティアチームを呼んでいただき、応急処置をしていただけました。

 

3.雨対策

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さらに白沙屯媽祖で重要となるのは、雨対策です。ほぼ毎年雨が降ると言われており、レインコートや足を濡らさないための対策は必須です。簡易式のレインコートではなく、上下分かれたもの+ザックカバーを準備した方がいいでしょう。

 

対策をしっかりとっていても雨が強くなれば、服はどうしてもびしょ濡れになります。そこで私は、寝間着兼着替えとして薄手のジャージ下を、靴はシャワー・休憩用兼雨対策として、軽いサンダルをバッグに入れて歩いています。

 

4.トイレ対策

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白沙屯媽祖では、トイレスポットも重要になってきます。大甲媽祖では途中多くの廟に立ち寄るため、そちらのトイレをお借りすることができました。白沙屯媽祖では、途中廟に立ち寄るかどうかすら分かりません。

 

また大甲媽祖の場合、参加者が神輿の前後に大きく分散していますが、白沙屯媽祖の場合は神輿の後ろに集中しているため、トイレがあっても大混雑となります。

 

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しかしルート上のお店やガソリンスタンド、民家の方々が、香燈腳にトイレを開放しています。特にガソリンスタンドは重要なポイントになってきます。ただ女性の場合はどこに行っても行列です。そこで一般的にどこの廟でもトイレはありますので、路上で見かけた際は神輿が立ち寄らずとも、先手先手でトイレをお借りし用を済ませましょう。

 

私は急行軍の朝方、民家のトイレの列に並んでいる間に神輿から大きく引き離され、その後昼休憩ポイントまでその姿を見ることはありませんでした。お借りした際はきれいに使用し、必ずお礼を伝えしましょう。

 

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このような時に御礼としてお渡しする「結縁品」を事前に準備しておいてもいいかもしれません。徒歩進香では、ほかの参加者から結縁品を受け取る機会も多いので、お返しとしてお渡しするものがあるとかなり助かります。

 

私は台湾の知り合いに相談に乗ってもらい、招き猫や金の豚などのマグネットやストラップを日本から買っていきました。雑貨屋やお土産物屋では300~500円程度しますが、ダイソーでは一つ100円で購入できます。

 

5.チケット争奪戦

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さらに初日から参加したいという方も注意が必要です。白沙屯には駅がありますが、この路線は本数がとても少ないのです。出発日前日の特急チケットは発売日の深夜に秒殺されてしまいます。

 

そこで出発日前日の早い時間に鈍行で現地入りし、お参り、申込を済ませ、廟の裏手にある「香客大楼」と呼ばれる宿坊のロビーや2階のフロアが開放されていますので、その場所で夜まで休憩するという方法がベストだと思います。私が到着した時はすでに香客大楼に場所がなかったため、民家の軒下をお借りして出発を待ちました。

 

チケット発売日深夜には、私も気合を入れてチケット争奪戦に参戦し、運よく当日夜の白沙屯に近い通宵駅までの特急チケットを手に入れました。しかし当日信号機トラブルがあり、電車は彰化駅でストップ、復旧の見込みがたちませんでした。私は駅を飛び出し白沙屯方向に向かうバスを探しました。そして幸運にも、白沙屯に参加するという方と駅前で出会い、拱天宮の近くまで送っていただきました。本当に助かりました。

 

 

最後に

初参加の方は、可能であればまずは大甲媽祖、その次に白沙屯媽祖という順番で参加するといいでしょう。白沙屯媽祖も急行軍の年にぶつからなければ、そこまでの苦労はありません。また足に自信がない方は、観光バスを申し込むか、ゆっくりペースの復路(復路が急行軍の年は往路)に参加するのがベストです。きっと忘れられない想い出ができると思います。

 

大甲媽祖遶境進香のページも合わせて確認いただくと、より深く理解できると思います。

 

   

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 ※ 実際に歩いた際のレポートはこちらへどうぞ ※ 

 

※ さらに詳しく知りたい方は、こちらのページもどうぞ ※ 

   

※ あわせて大甲媽祖の情報もご確認ください ※ 

 

 

 

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